ましてや受験テクニックさえ学べば大学受験も乗り切れるなんて甘い考えでは、一流大学には行けないということだろう。中高で国語の成績がいい子というのは、日頃から本や新聞を読み、あらゆる形式の文章に触れている子だ。要するに、論理的な思考を読書など勉強以外の時間で自ら養成できれば伸びるということ。そしてそれは、算数・数学でも似たようなことが言える。
「二番手校や中堅校の中学入試の算数問題は、塾で教わるパターン演習をやっていれば、おおよそ解けてしまいます。つるかめ算、流水算、ニュートン算。基礎演習問題をいくつも解いていれば、深く思考しなくてもパターンで正解できる。でも、そこが落とし穴なんです。なぜ、そうなるのか。仕組みをきちんと理解していないと、中高で少しひねった問題に出合うと苦戦してしまう」
読書習慣は、突然備わるものではない。なるべく早い段階から本に親しめるように生活を変えていきたい。
最後に、親の対応も、子供のさらなる飛躍に関係するので注意が必要だ。
「子供が志望校に合格するやいなや、安心して、子供から急に手を引く親御さんが多いのですが、完全に放置してしまうと、(前述のように)成績が急降下するリスクがあります」
かといって、中学以降も過干渉でやかましく言うのは避けるべきで、あんばいが難しい。思春期を迎え、子供は親に対して“心の仕切り”をつくるもの。見守るスタンスで、自主性を育ててやりながら少しずつフェードアウトするのがベストだろう。