斎藤知事は公選法をよくわかっていない

27日の定例会見で、フリーの記者が「公費負担のポスター」について、「なぜ自腹を切ったのか」と斎藤知事の見解をただした。

「詳細を承知していない」と回答する斎藤知事に、さらに「(斎藤知事は)公選法を所管する総務省の出身なのに知らないのか」「100%税金の支払いではないか」と突っ込みが入ると、「その辺りも弁護士に託している」と逃げた。

追い討ちをかけるように「ポスターが公費申請の対象だと知らなかったのか」と問われると、斎藤知事は「確か1万5000枚までについては公費の対象となる」と回答した。

筆者には「1万5000枚」という数字がどこから出たのか、さっぱりわからなかった。

「兵庫県の選挙運動用ビラ及び選挙運動用ポスターの作成の公営に関する条例」を調べてみたが、「1万5000枚」という数字はどこにもなかった。

斎藤知事が何らかの勘違いをしたのだろう。総務省出身のキャリア官僚でさえ公選法の細かい規定を承知していないのだ。ましてや、奥見弁護士が複雑な公選法の規定を理解しているはずもない。

とにかく、折田氏の投稿による‟暴露”記事を何とかごまかそうとするのに精一杯なのだろう。だから、ポスターとチラシデザインが公費負担の対象なのに、メルチュへデザイン費用を支払ったことにして、SNS関連ではない「正当な支払い」に見せ掛けたに過ぎない。

PR会社社長の協力は「ビジネス」か「ボランティア」か

最も大きな食い違いは、折田氏の立場である。

斎藤知事は「SNSは陣営が主体的に運用した。女性(折田氏)はボランティアとして個人で参加されたと認識している」と述べている。

それに対して、折田氏は「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」と、SNS戦略をすべて任されたと投稿している。

約1カ月半、食べる暇も寝る暇もないほどだったが、仲間とともに大きな試練を乗り越えることができたなどとも書いている。折田氏は投稿記事に、「特定の団体・個人やものを支援する意図もなく」と「ボランティア参加ではない」ことをはっきりとさせている。その上で、「株式会社merchuの社長として社会に貢献できるよう日々全力で走り続けたい」と、「ビジネスである」ことも明確にしている。

ところが、政治資金規正法では、会社などの団体が候補者に寄付をすることはできないとされている。