ボール紙の価格下落が引き金に

11月20日、同社は債務の元利金を支払うことができず、銀行口座が凍結されたと発表した。支払いができなかった債務は18億2000元(約360億円)、直近の監査済み純資産の10.91%に達した。累計の凍結口座数は65であることも公表した。同社は既存株主と投資家に対し、チェンミン・グループの株式を取引する際、細心の注意を払うべきとも警告した。

デフォルトを引き起こした理由は、7~9月期、国内需要の低迷による紙製品(主にボール紙)の価格下落の鮮明化だ。損失は拡大し、これまで融資を行ってきた銀行は資金を引き上げた。損失の拡大を食い止めるため、経営陣は国内の製紙工場を閉鎖し、操業度の引き下げを余儀なくされた。全社の生産能力の71.7%をシャットダウンした。

そこまでしなければ資金繰りの悪化、自己資本の棄損を食い止めることは難しくなっている。チェンミン・グループは、事実上の破綻状態に陥ったと考える主要投資家もいる。

あのバイドゥも苦戦している

今回の事例は、国有企業の増強を重視する中国にとって都合が悪い。鉄鋼業界などでも、値下げ激化で収益確保が難しい企業は増えているようだ。チェンミン・グループのデフォルトは、国有・国営企業の収益低下の深刻化を示す重大な事例といえるだろう。

足許、政府系企業に加えて民間企業の収益環境も厳しい。11月21日、検索大手の百度(バイドゥ)は7~9月期の決算を発表した。売上高は、前年同期比3%減の336億元(約7000億円)だった。

同社はAI(人工知能)の活用を急ぎ、広告収入の増加と事業運営コストの削減に取り組んできた。中国政府が金融・財政政策の両面から、マンション在庫の買い入れなど経済対策を実施したこともあり、広告収入は増加するとの観測は多かった。しかし、実際には、今のところ、そうした効果はあまり目立っていないようだ。広告収入の減少で、中国の消費者の節約心理は高まると警戒する企業は増えている。