電力というものは、供給が不足してもオーバーしてもトラブルを引き起こしてしまうデリケートなものだ。だから、電力会社は需要予測をしながら、需要に応じて電力供給量を調整している現状がある。
需要の変化に合わせるため、主に3つの電源を使い分けているが、それぞれ「ベースロード(基幹電源)」「ミドルロード」「ピークロード」と呼んでいる。
ベースロードは、一定の電気を安定的に供給する電源。それをフォローして日中の電力消費の変化に対応するのがミドルロード電源で、真夏の高校野球などで電力量が跳ね上がるときに使うのがピークロード電源である。
文字通り、電力はベースロード電源をベースにして調整されている。そして月ごとの需要変動、ウイークデーと週末で異なる週単位の需要変動、昼と夜とで大きく異なる1日の需要変動に対して、ベースロード電源を基準にして常に供給余力が10%程度になるようにミドルロード電源、ピークロード電源を調整しているのだ。このような理由からも、安定した供給が見込めるベースロード電源が、供給全体の3割から4割を占めていないとエネルギー供給としては不安定になる。
これまで日本のベースロード電源を担ってきたのは原発であり、「3.11」後は石炭火力やLNG火力などでそれを代替してきた。しかしながら、燃料コストの増大やCO2排出量の増大などのリスクもあって、代替を長く続けることは、「持続可能な成長」にならない。そして、日本のCO2発生量が世界的に見れば低い値に収まってきたのも、電力供給の3分の1を原子力に頼ってきたおかげである。
結論から言えば、太陽光や風力などの再生可能エネルギーでは原発の代替のベースロード電源にはなりえない。
次回は、その理由を解説し、大前流のエネルギー問題に対する解決策を示そう。