面接前も口ずさんでいた「蛍の光」
私の耳にはずっと聞こえてくる「蛍の光」。しかし、冒頭の「蛍の光、窓の雪」の2フレーズだけが、ずっとリフレインする。これは何かおかしい。それで、「あぁ、これは幻聴なんだ」と気付いたのです。
しかし、その幻聴は消えることがありませんでした。いつも、どこからともなく、「蛍の光」が聞こえてくるのです。
それから口述試験が終わるまで、勉強をするときは、ずっと頭のなかをこの2フレーズが繰り返し流れていました。口述試験の面接室に入る前の「発射台」と呼ばれる狭い待合室で、私はずっと小さな声でこの2フレーズをついハミングし続けてしまうほどでした。
まわりから見たら、私の姿は「変人」に映ったに違いありません。
天才ではないから、努力に人生をささげた
冒頭の話に戻ります。
「よく頑張るよね」
そういって努力する人を嘲笑する人たちは、往々にして、幼い頃に非常によくできた人たちです。スポーツも勉強も、大した努力をしなくても……。だから、大人になっても、自分が「本当の天才」に生まれてこなかったことを認められないのです。
私がここで言いたいことは、「天才」への憧れを捨てて、「努力すること」の価値を認めるべきだということです。
「天才」は滅多にいません。私は、人生の早い段階で、どうやら自分は「天才」には生まれてこなかったと認めざるを得ませんでした。でも、だからこそ、「天才」への憧れを潔く諦めて、残りの人生を「努力」にささげることができたのです。
目指すべきは「努力」型の人間です。脇目もふらずに、少しずつだが確実に前へと進む。天才ではない人が、社会で成功をつかむには、努力をするしかないのです。