「いろいろな意味で吹っ切れた。少しずうずうしく前面に出てやれることをやりたい」「『俺は後ろの方で守っているから、みんな前に出ろよ』というわけにはいかない」とも述べ、反撃宣言したのである。
石破首相については「就任して1カ月。支持率が低いからどんどん変えたら政権が不安定化する」として当面は静観する姿勢を示したが、来春に照準をあわせているのは間違いない。
来夏の参院選は石破氏以外で
裏金問題で離党に追い込まれ、森山幹事長と親しい二階俊博元幹事長の三男を和歌山2区で圧倒して勝ち上がった世耕弘成氏も手ぐすねを引いている。森山氏は世耕氏の復党を認めない姿勢だが、世耕氏は参院幹事長を務め、参院への影響力は今なお強い。
安倍派は総選挙で壊滅的打撃を受けたものの、世耕氏が束ねてきた参院勢力は残存している。来春の総裁選になれば、無所属であっても世耕氏の影響力は無視できない。世耕氏が推す候補が総裁レースで勝ち上がれば、復党はただちに実現するだろう。
石破首相は「党内野党」として正論を吐き続け、世論の人気を得て、9月の総裁選に勝利した。ところが首相就任後はブレまくり、総選挙では裏金議員の大半を公認し、国民の期待は一気に萎んだ。
総選挙で自ら掲げた勝敗ラインを割り込んだものの首相に居座り、内閣支持率は急落。党内基盤は弱く、少数与党の国会運営は混迷を深めていくだろう。来夏の参院選は石破政権では戦えそうになく、来春の予算成立を機に首相を再び差し替えるのが自民党の既定路線となりつつある。石破政権の余命はおそらくあと半年だ。
麻生派、安倍派、主流派の抗争は続く
反主流派はどんな戦略を描くのか。麻生氏は茂木氏と連携してキングメーカー復活を狙う。高市氏は総裁選への再挑戦へ基盤を固め直す必要がある。萩生田氏や世耕氏ら安倍派の面々は石破首相への恨み骨髄だ。
岸田文雄前首相や森山幹事長ら主流派はポスト石破に岸田派ナンバー2の林官房長官を担ぐ可能性が高い。林氏は麻生氏とソリが合わない一方、財務省に近く、立憲民主党との関係も良好だ。国民民主党を含め野党の出方も政局を大きく左右する。
来春の予算成立が大政局への号砲となる。