けれども連立に加わった政党は「自公の補完勢力」と批判を浴び、来夏の参院選で惨敗必至だ。だからこそ、国民民主党も連立入りを否定し、パーシャル連合の立場をとった。他の野党も事情は同じである。参院選前に連立拡大によって政権基盤を安定させることは相当に難しい。

もうひとつの選択肢は、来夏の参院選にあわせて衆院解散を断行して過半数回復を目指す道である。衆参ダブル選挙だ。

国民に不人気の石破首相では、衆参ダブル選挙は到底無理だ。やはり来春に石破首相を退陣させ、国民人気のある新しい首相に差し替えることが、衆参ダブル選挙を仕掛ける大前提となる。小泉進次郎氏は9月の総裁選で「不人気」をさらけ出した。

高市氏は党員人気は高いものの、国民人気はそこまで高まらず、総裁選の決選投票では「高市政権では無党派層が右寄り政策を警戒して逃げ、小選挙区では勝ちきれない」との危機感が自民党内で強まり、石破氏に逆転を許した。

茂木氏や林芳正官房長官は国民人気が決して高くはない。この先、国民人気の高い「新しいスター」が登場しない限り、衆参ダブル選挙はハイリスクの賭けとなる。

萩生田氏の「反撃宣言」

自公与党は八方塞がりの状況だ。そのなかで弱小の石破政権が来春の予算成立までは国民民主党の主張を次々に受け入れながら、かろうじて政権運営を担うことになろう。

予算成立後は一気に参院選モードに突入し、与野党対決が強まる。国民民主党も「103万円の壁」撤廃やガソリン税減税を盛り込んだ予算が成立したのを機に反自公に転じるかもしれない。いざとなれば自公が受け入れ難い「消費税減税」を迫り、自公が拒否したことを理由に協調路線から離脱して、参院選で再び躍進を狙う可能性もある。

萩生田光一氏(写真=経済産業省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

自民党の反主流派が「石破おろし」に動くのも予算成立のタイミングだ。予算案が衆院を通過し、年度内の自然成立が確実となる2月末に「石破おろし」の狼煙があがるだろう。最初に声を上げるのは、総裁選出馬をめざす高市氏や茂木氏ではなく、石破首相に恨み骨髄の萩生田氏ら安倍派5人衆ではないか。

萩生田氏は東京24区に無所属で出馬し、接戦を制して勝ち上がった。

総選挙後にネット番組に出演し、裏金問題で政治倫理審査会に出席しなかったことを理由に公認を外されたことについて「反論もせず(総選挙を)戦ったが、非公認にするにはそれなりの根拠が必要だ」「(政倫審に出席しなかったのは)党の判断。それを持って説明責任を果たしていないと言われたことは腑に落ちない」と露骨に不満を示した。