眠っている間もたくさん電気が使われている
「ほら、日本を見て。夜なのに、すごく明るいでしょ。アメリカは西海岸に少し光が見えるけど、ほとんどが東海岸ね。西ヨーロッパは全般的に明るいけど、特に明るいのはイギリスのロンドン辺りと、そこから大陸側に渡ったところ。これはオランダかしら。
そして、北イタリア辺りが随分明るいわね。少し明かりが灯っているのは、ロシアの首都モスクワ辺りね。中国はやはり海側の上海辺りが一番明るい。みんなが眠っている間にも、世界中でこんなにたくさんの電気が使われているってことね」
「私ね、この前、変な夢を見たんだ。朝起きたら、部屋中の電気がつかなくて、デジタル時計もスマホも画面が真っ暗。パニックになりかけたところで目が覚めたの。そんなこと、今まで経験したことがなかったから、夢って分かった今でも、ずっと頭の中に真っ暗な部屋のイメージが残ってる。ねぇ、災害じゃない時でも、そんなこと、本当にあったりする?」
モコが不安そうな声で聞いた。それに答えたのは、カイトだ。
日本が停電するのは年間で「10分」だけ
「最近は特に、集中的な豪雨や台風が来ると停電になったりすることが多い。だけど僕、日本は国際的にみても停電の時間がすごく少ないって聞いたことがあるんだ。1年のうちの停電時間は、フランスで51分、イギリスで40分とかだったかな。アメリカは結構よく停電があって、ニューヨーク州で167分、カリフォルニア州で355分以上。でも、それに比べて、日本は全国平均で10分、東京や関東辺りだけに限定すると、たったの7分ぐらいらしいんだ(※1)」
※1:停電時間の国際比較/数表でみる東京電力/東京電力ホールディングス株式会社(tepco.co.jp)
「ええ、すごい! じゃ、日本では災害時でなければ停電の心配はしなくてもいいのかな。
でもさ、おかしくない? 地図を見ながらエネルギー資源がある国をマークした時、日本は真っ白のままだったでしょ。つまり、日本にはエネルギー資源がないってことだよね。それなのに、どうして日本の停電時間は、どこの国よりも短いの?」
2人のやり取りをじっくり聞いていたエナジーは、待ってました!とばかりに言った。
「それでは、今日の対話のテーマを発表します。“エネルギー資源のない日本のエネルギー格闘ヒストリー”よ! 島国日本は、どのようにして“電気はあって当たり前、停電がほとんどない国”になったのでしょう⁉」