東京24区は一進一退の「激戦」に

そして、萩生田氏は立憲の有田芳生元参院議員とどちらが勝つかわからない一進一退の攻防を繰り広げている。

政党や報道各社による調査でも、萩生田氏が有田氏をリードしているものもあれば、その逆もあるような状況だ。

萩生田氏といえば、旧安倍派の幹部として裏金問題で大きくニュースになっただけでなく、旧統一教会問題でも2022年の参院選直前に立候補予定者を関連施設に連れていくなどしており、その密接な関係を野党から激しく追及された。

逆風は強いはずだが、一方で立憲の有田氏は「リベラル色」が強すぎて、なかなか中間層が取れていないという情報もある。

立憲関係者は「萩生田氏を厳しく糾弾するために、これまで旧統一教会の問題で取材を重ねてきたジャーナリストの有田氏を擁立したが、批判の色合いが強くなりすぎてしまい、一般層への波及は課題だ」と語った。

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一方、裏金で逆風の自民とは対照的に、議席を伸ばすと見られ勢いづいている立憲民主党だが、油断すると足をすくわれる選挙区もいくつか出てきている。

「あと一歩で自民党に競り勝てる選挙区において、その一歩がつまずいてしまうかもしれない」

立憲関係者は情勢調査を分析しながら、眉間にしわを寄せた。

「ネックになっているのが、共産党との野党共闘が瓦解したことだ。前回の衆院選では共産党が候補者を降ろした選挙区でも、今回は擁立しているところが多くあり、せっかく自民が裏金問題で窮地に追い込まれているのに、野党乱立によって一部で漁夫の利を許してしまう状況になるかもしれない」

「野党共闘の瓦解」が与える大きな影響

立憲は前回の2021年衆院選で、政権交代を果たした際に共産党と「限定的な閣外からの協力」をするという約束を交わし、多くの選挙区で候補者調整して選挙戦に臨んだ。

野党共闘によって、小選挙区における共産票の取り込みを期待した形だが、与党から選挙戦で「立憲共産党」と批判され、中間層が離反。

その多くの票が維新に流れ、維新は30議席増の躍進を遂げた一方、立憲は自民と競り負ける選挙区が多発し、まさかの議席減で衆議院100議席を割ってしまった。

その後、立憲は共産から距離を取る方向にシフトし、代表も枝野幸男氏から泉健太氏、そして党内きっての保守派の論客である野田佳彦氏へと変わっていった。

実際に、野田氏は共産と政権構想を交わすことには否定的な見解を示し、反発した共産は野党共闘から手を引いて、野田氏が出馬する千葉14区にも候補者を擁立した。

もっとも、立憲も共産と離れる代わりに中間層や穏健保守層を取りに行く戦略をとったということなので、今回の野党共闘瓦解がすべての選挙区でマイナスに働いているわけではない。

しかし、東京都の一部の選挙区においては、この共闘解消が選挙情勢に大きな影響を与えているのだ。