「部下に慕われない上司」に足りないもの

【長谷川晶一】いまに限った話ではありませんが、人間関係に悩むビジネスパーソンは数多くいます。上司や部下と飲みに行けば、誤解が解けたり理解し合えたりすることもあるはずですが、特に若い人の場合は、いわゆる「飲みニケーション」を敬遠する傾向もあるようです。

【玉袋筋太郎】そうだよね、全日本スナック連盟会長の俺としては悲しいことだよ(苦笑)。ただ、最近ひとつの答えが見えた気がしているんだ。つまり、後輩を無理に飲みに誘うんじゃなくて、俺のようなおじさんたちが楽しく飲んでいる背中をただ見せればいいんだよ。別に大金を使って飲むってことじゃないよ。そこらの大衆居酒屋かどこかで、塩辛かなんかをつまみながら、くだらない話をしていればいい。

もちろん、「そういうのが嫌だ」という後輩なら仕方ないけれど、「僕も仲間に入れてください」といってくる後輩もいるんじゃないかな。だって、事実、俺がそうだったからね。無理に誘われると行きたくなくなるけど、「この先輩、上司と飲むのだったら面白そうだ」と思う人間は、勝手に向こうからついて来るよ。

写真=石塚雅人
玉袋筋太郎さん

弱い一面を部下に見せられているか

【長谷川晶一】その背中を見せるのは、やっぱりスナックがおすすめですか?

【玉袋筋太郎】それは理想だよね(笑)。会社でどれだけ威張っている上司でも、スナックじゃママに頭が上がらないわけよ。そういうシチュエーションなら、ふだんの会社での自分とは違う、ある意味で弱い一面を部下や後輩に見せることができるじゃない。会社では近づきにくいと思われている上司だって、スナックに行ったらママの下僕だもん。そういう姿を見せられたら、部下からの心理的な距離もぐっと近づくんじゃないかな。

客側の人間は、大企業の社長だろうが上司だろうが部下だろうが、肩書なんて関係ない。ママが絶対的なトップというだけであとは対等な立場だから、客同士、「心の混浴」ができるのがスナックという場所なんだよね。