いい会社と、ダメな会社の違いはどこにあるのか。数多くの企業の倒産・再生事例に携わった特定行政書士の横須賀輝尚さんは「社員のモチベーションを上げようと、社長がランチ会を開くケースがある。接点の少ない若手社員と交流を深めるためには有効だが、事前準備や目的のない食事会ならやらないほうがマシだ」という――。
各自持ち寄りで、オフィスで一緒にランチ会
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カジュアルな場のコミュニケーションは重要

かつては、「会社の飲み会やランチ会」は社員に歓迎されたものでした。普段の慰労や社員同士のコミュニケーションの場として受け入れられ、喜ばれることがあっても敬遠されるようなものではありませんでした。

ところが、時代が移り変わるとむしろ飲み会やランチ会のような集まりは、徐々に受け入れられなくなり、社員の満足度をむしろ下げてしまうことさえあります。では、会社が企画するランチ会は、もう企画すべきではないのでしょうか。改めてランチ会の効用を踏まえ、現代におけるランチ会の成功について、考察していきます。

ランチ会は社員同士の関係を深め、職場の雰囲気をよくするための効果的な手段として使われてきました。特に、日常の業務とは違うカジュアルな場でのコミュニケーションは、上司と部下、同僚同士の距離を縮める大きな役割を果たします。

普段なかなか聞けない社員の本音が聞けたり、新しいアイデアが生まれたりする場として、企業にとっては大きなメリットがあるのです。いわゆる「成功循環モデル」として知られるように、職場内での信頼関係が深まることで、業務の円滑化や生産性の向上に繋がると言われています。

コスパ、タイパが叫ばれる世の中

しかし、こうしたランチ会の効果も、実際にはそのやり方次第で大きく結果が変わります。特に現代では、コストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)を重視する風潮が強く、社員が「意味のある活動かどうか」をより意識するようになっています。以前は、社長や上司の声かけで自然と参加していたランチ会も、今では「ランチ会の時間は給料が出るのか」「本当に参加する意味があるのか」といった声が社員から聞かれるようになりました。

このような背景から、単純に「交流のため」としてランチ会を実施しても、思ったほどの参加率が得られなかったり、逆に「無駄な時間」と感じられてしまったりするリスクもあるのです。