プライベートは深掘りし過ぎないように

休日の過ごし方やリフレッシュ方法も、リラックスした会話を生むのに最適な話題です。社長が「最近の休日はどう過ごしている?」といった軽い質問を投げかけることで、社員が気軽に話せる内容になり、自然とプライベートな話も広がりやすくなります。こうした会話を通じて、共通の趣味やリフレッシュ方法が見つかれば、親近感が生まれ、社員同士の距離が縮まります。

ただし、社員のプライベートなことに関しては、本人から話さない限り深掘りするのは避けましょう。例えば、家庭の状況や特定の趣味について、本人が触れない限りは質問を重ねるのではなく、あくまで軽い会話を心がけることが大切です。そうすることで、社員が気まずさを感じることなく、リラックスして参加できる雰囲気をつくることができます。

退職者まで出した「気まぐれランチ会」の末路

最後にもっともやってはいけないランチ会の末路について事例を加えておきます。

ある経営者は、社員の親睦のためにランチ会を企画しました。本稿で伝えたような目的の明示や会話のルールなどにはあまり気を使わず、軽い気持ちでランチ会を実施。社員の人間関係はさほど悪い会社ではありませんでしたが、突然の開催で半ば強制的。社員の不満はややあったようですが、会社の付き合いということで参加者は一応集まりました。

その後、不定期で開催していましたが、毎回ランチ会の音頭は社長がとっていたものの、社長のランチ会への関心が薄れたのか、ほかに関心事ができたのか、主催を幹部社員に任せることが増え、しまいには社長自身は参加しなくなっていきました。勝手に開催し、そして自分はいなくなる。最終的にランチ会を積極的に開催する社員も、参加する社員も減少してきて、いつの間にか自然消滅してしまいました。

「社長がやりたいって言うから、参加したのに……」と社員からの信頼は揺らいでいきました。たかがランチ会ですが、「社長に一貫性がない」ということで、それからの社長企画は社員から反対されることが増え、徐々に勤労意欲が下がるどころか、退職者まで出てしまったのです。

退職届を提出する女性の手元
写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです

このように、たかが「ランチ会」です。しかしながら、社員の時間を使っていることは事実。無責任な対応をして、自然消滅なんてことがあれば、ランチ会だけでなく人間関係、そして信頼関係まで消滅してしまう可能性を持っていることには、注意が必要です。