脳の疲れに「甘いお菓子」は逆効果
では、空腹時にスナック菓子やジュースを飲んで、血糖値が急激に上がると、体内ではどんなことが起こるのでしょうか。
高血糖の状態になると、血管壁が傷つけられてしまいます。「そうなっては大変!」と大量のインスリンが分泌され、手あたりしだいにブドウ糖を細胞のなかに引き入れて、血糖値を下げていきます。
すると、次に何が起こるでしょうか。
正常値より血糖値が下がりすぎてしまうのです。大量のインスリンが、ブドウ糖を必要以上に細胞内に引き入れてしまうからです。この状態を「低血糖」と呼びます。
血糖値の正常値は、70~110mg/dL。臨床的には、70mg/dLになると低血糖とされます。子どもであったとしても、糖質のとり方が悪ければ、血糖値スパイクも、低血糖も起こってきてしまうのです。
低血糖になると、体が危機を感じて、「アドレナリン」という心拍数や血圧を上げるホルモン及び神経伝達物質を分泌します。すると、心身にさまざまな不快症状が現れます。頭痛やめまい、抑うつ感が生じることさえあります。
この状態で勉強するのは大変なこと。にもかかわらず、この状態にあるお子さんを「勉強しない」と叱っている親御さんは多いかもしれません。
もしかしたら、スナック菓子や甘いお菓子、菓子パンなどを「脳へエネルギーを届けさせよう!」と思って、子どもに食べさせている人もいるでしょう。しかし、これは逆効果でしかないのです。
「血糖コントロール」を制す者は受験を制す
「○○を制す者は受験を制す」といいますが、栄養の専門家である私は、
「血糖コントロールを制す者は受験を制す」
とお伝えしたいと思います。
「勉強しなさい」という親の一言は、子どものやる気を削いでしまいかねません。
対して、血糖コントロールは、子どものやる気や能力を高める効果があります。
メンタルを安定させ、受験を乗り切るために必要な高い精神力を築いてくれます。前向きに勉強できるようになるので、成績もグングン上がっていきます。
血糖コントロールは、受験生を支える親御さんのいちばんの仕事ではないか――大げさではなく、私はそれくらい血糖コントロールが重要であると考えています。
では、「血糖コントロール」とは、いったい何なのでしょうか?
血糖値がゆるやかに上がり、ゆるやかに下がるような食事をすることです。
血糖値はゆるやかに上がれば、ゆるやかに下がります。インスリンが必要以上に働くことがないからです。そのため、低血糖に陥ることもありません。
体内ではつねに必要なエネルギーがつくられ、脳にも十分なエネルギーがある状態のとき、脳は意欲的に働きます。思考はポジティブになって、記憶力も高まります。
もちろん、メンタルも安定し、自分の未来を見据えて「今こそがんばるときだ」と前向きに勉強できるでしょう。この脳とメンタルの状態は、食事がつくっているのです。
反対に、血糖コントロールがうまくいかない最たる例が、血糖値スパイクを起こすような食事や間食のとり方です。