「死後離婚」件数が急増している

「死後離婚」とは、配偶者が死亡した後、配偶者の親族との親戚関係を解消する手続きのことです。

具体的には最寄りの役所に「姻族関係終了届」を出すことで、「死後離婚」が成立します。

近年、「死後離婚」を選ぶ方が急増しています。

法務省の戸籍統計によると、「死後離婚」の件数は、平成24年には年間2213件でしたが、令和4年度は3000件を突破と、約1.5倍に増加しています。

2022年には離婚件数全体に占める熟年離婚の割合が23.5%と過去最高を記録しましたが、そうした「熟年離婚急増」の流れの中で、「死後離婚」の件数も増えていると言えるでしょう。

「精神的なけじめ」を求めている

「死後離婚」で何が得られるのでしょうか。

「死後離婚」しても戸籍は変わりません。戸籍謄本に「姻族関係終了」と書かれるだけで、配偶者の戸籍から抜けるわけではありません。

また遺産の相続に影響はありませんし、遺族年金もちゃんと受給できます。

それでも「死後離婚」を選ぶ方が求めているのは、「精神的なけじめ」です。

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「精神的なけじめ」を求めている(※写真はイメージです)

もともと夫と関係が悪化していて、離婚の話し合いをしていた最中に夫が急死してしまった、といった場合、「夫がすでに亡くなっているとしても、気持ちのけじめをつけたい」として「死後離婚」の手続きをとる場合があります。

「死後離婚」後に「復氏届」を出すと苗字を旧姓に戻すことができるため、それを目的に「死後離婚」する方も多いです。