「うちの墓に何しに来た」と反発
「死後離婚」にもデメリットはあります。
まず、子どもがいる場合、子どもとの関係が悪化する恐れがあります。
「何もお父さんが亡くなったあとに、こんな嫌がらせをしなくても」などと思い、反感を持たれてしまう場合があるのです。
親戚と子どもとの関係が悪化することも考えられるので、死後離婚の手続きをとる前に、子どもにもよく説明して話し合っておく必要があるでしょう。
また、死後離婚をすると「祭祀継承者」にならなくてすむため、「配偶者の先祖のお墓の維持・管理の義務」から解放されることになります。
手間がかからなくなるのはメリットではありますが、その分、元配偶者のお墓まいりをしづらくなる、という声も聞きます。
配偶者の親戚から、「わざわざ死後離婚までしたくせに、いまさらうちの墓に何しに来たのか」と反発されることがあるからです。
前もって遺言書を作っておくことが重要
先述したように、夫・妻の死という出来事は、相続などをめぐって親戚とのトラブルが急浮上するタイミングです。
思わぬトラブルに陥るのを避けるためには、生前からしっかりした遺言書を作成し、財産の帰属について明確にしておくことが重要でしょう。
たとえば冒頭にあげた「介護の約束があったのに、マンションを追い出された」というケースでは、亡くなった夫がマンションの相続や、母親が居住することについて細かく記載した遺言書を作っておけば、もう少し円満に解決できたはずです。
「息子夫婦なら心配ない」と、しっかり話し合わず、何もかも口約束にしていると、思わぬ手のひら返しにあうことがあります。
その時になって「あの時は介護すると言っていたのに!」と怒っても、後の祭りです。
親しき間柄だからこそしっかりと話し合い、必要なら証拠を残しておくことが重要でなのです。