ていねいにつくり込んだウェブページにストーリーを載せる

ストーリー化の効果も、そのストーリーを公表しなければ奏功しません。

尾崎さんは伊勢志摩の観光大使を務めて地域の活性化にも貢献しており、双方の面からアピールする状況を作り出しています。

また、『SEVEN THREE.』のブランドページは、非常にていねいにつくられています。サイトのページをめくっていくほどに、それこそ「金魚真珠」のストーリーが展開されていく流れになっており、引き込まれていきます。

特にそのサイトのトップページを下にスクロールしていくと、次のコピーがあります。

白玉は 人に知らえず
知らずともよし 知らずとも
我れし知れらば 知らずともよし

万葉集から引用された歌(詠み人・元興寺僧)です。

深井賢一『売れる「値上げ」』(青春出版社)

真珠のように、己の価値は他人には知られずとも、自分自身が知っておけばよいという意味ですが、いま風に解釈すれば、

「たとえ他人になかなか認められなくても、どんな人にもその人だけがもつ価値がある。そんな自分を信じて、ありのままの自分を輝かせて生きればよい」

というメッセージとも捉えることができます。

たった38音字の中に、尾崎さんが人びとに伝えたいと願っている、すべての真珠がもつ本質的な価値、この世に生まれ育まれてきた命の愛おしさ、尊さが、雄弁に物語られているのです。

「金魚真珠」に秘められたストーリーとメッセージは、透き通った海の底深くまで届く光のように、人びとの心に静かに、確かに、伝わっていくはずです。

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