漢字を教えてくれた「先生」は本だった

“九九”以外に、私が“完璧には覚えていない”ものというと、「漢字」があります。

私は、基本的にほとんどすべての漢字を「本を読んで」覚えました。

当時の私はファンタジー的な物語の世界が好きでした。ゲームの『ファイナルファンタジー』シリーズが好きだったこともあって、“剣と魔法の世界”にすごく親しみや憧れがあったんです。

そうした物語の本はたくさん読みました。韓国の作家、ジョン・ミンヒのファンタジー小説『ルーンの子供たち』は、オンラインゲームの原作にもなった作品です。重工でダークな世界観の中で、なんとか生きようともがきながら歩んでいく主人公たちが何とも魅力的でした。

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書けるか怪しい漢字はいまだに結構ある

そうした中でも、特に私がハマった1冊を選ぶとすれば、やはりJ・K・ローリングの『ハリー・ポッター』シリーズ。説明するまでもない世界的な超ベストセラーです。ちょうど映画版が話題になり始めていたこともあって、初めて読んだ瞬間に夢中になり、これまで何度繰り返し読んだかわかりません。

『ハリー・ポッター』には、7歳の私では読めない漢字もたくさん出てくるのですが、ストーリーがとにかく面白いので多少わからない文字があっても、ぐんぐん引き込まれていく。そうやって物語に夢中になると、「わからない」よりも「読みたい」欲求が勝ちます。

何度も読み込むうちに、読めなかった漢字の意味も文脈で大体わかるようになってくるので、そこからネットで正確な読み方や言葉の意味まで調べたらもうOK。きちんと頭に入ります。

ただ、授業を受けていないので、例えば読書感想文を書いたり、漢字ドリルや書き取り練習といった「書く」ほうはあまりしていませんでした。ですから、読むほうはどんな漢字でもほぼ完璧に読めますが、書くほうは、4年生くらいに習う漢字ならさすがにスラッと書けますが、5、6年生、そして中学生で習う漢字になると、“怪しい”ものがいまだに結構あるんです。

例えば「災難」。「災」は書けるけれど、「難」が時折ちょっと怪しい。「闘う」も、門構えの内側は頭がボーッとしている時は思い出せないこともあります。