悪質な業者の正体を突き止めやすくなった

同法施行により、消費者庁はトラブルを未然に防ぐため、取引DPF運営事業者に対し、問題のある商品の出品削除などを要請できるようになりました。消費者の側からも、消費者庁に対し、商品に問題があったり、利益が害されるおそれなどがある場合、適切な措置をとるよう求めることが可能になりました。申出の手順は消費者庁のHPで確認できます。

返品や返金の交渉は販売業者と直接行う必要がありますが、連絡先が分からなかったり、連絡してもつながらないことが多く、なかなか解決に至らないのが現状です。しかし、同法が施行されたことにより、消費者はオンラインモールなどの運営会社に対して、販売業者の電話番号やメールアドレスなどの情報開示を請求できるようになりました。

情報開示を求めるには販売業者等の名称、取引日時、取引内容、損害額の合計、交渉の経緯、開示請求を用いて何を行おうとしているのかなどを記載し、取引DPF運営事業者へ請求します。ただし、開示を求めることができるのは、損害額の合計が1万円を超える場合です。消費者庁のHPから「販売業者等情報の開示請求書式」をダウンロードできますので、参考にしてください。

詐欺サイトだった場合、対抗手段は使えない

しかし、取引DPF以外のサイトを利用してトラブルに遭った場合、このような対抗手段はありません。2023年4月1日~10月31日の間、消費者庁に申し出があった件数は205件ですが、そのうち144件が直販サイトや偽サイトなど、取引DPF以外のものでした(※)

※第4回取引デジタルプラットフォーム官民協議会(2023年11月10日)の資料より

偽ショッピングサイトや詐欺サイトは、詐欺を目的としたウェブサイトを構築し、商品の注文・代金の振込を受けた上で、商品を発送しないか偽物の商品を発送します。多く見られるのが、次のような手口です。

● 「品薄」「本日限り」「タイムセール」など、商品購入を急がせる
● 「最大○○%OFF!」など、大幅な値引きを強調して商品購入を煽る
● 銀行口座等への前払いのみ、クレジットカードのみ、代金引換のみなど、支払方法が限定的
● 会社概要に実在しない住所が記載