早く行くと良いことがある

不注意症状を持つ発達障害の子どもは、時間を守るのが苦手なことがあります。

日本は時間に厳しい文化と言われており、子どもが時間にだらしないと、「将来大変よ!」と叱ってしまう大人は多くいます。

しかし、どんなに注意をしても、遅刻をしてしまうので、悩んでしまう保護者も多くいらっしゃいます。

そんなときは、「時間を守れるようにするのではなく、早く行くと良いことがあるという環境設定をする」と発想を転換してみましょう。

たとえば、「朝ごはんに好きなフルーツゼリーを出す」「朝、学校に行くと朝の会まで、空き教室でオセロができる」など、「早く行くと良いことがあるよ!」というメリットがあれば、モチベーションが働いてすぐに動くことができます。

繊細な時間術は難しい

一般的に定型発達に求められる時間の概念は、かなりハードルが高いものでもあります。たとえば、「時間を守ることは大切だけど、早く行きすぎても相手に迷惑がかかるから、5分前ぐらいに到着するのが失礼に当たらない」という社会的ルール。

このような繊細な時間術を身につけることは、人に興味が薄く、周囲の目を気にして、組織のルールを守ることにモチベーションが働きにくいASDの子どもや、「遅刻しても俺が困るだけで、他の人の迷惑になってないんだからいいじゃん」と考えやすい、ADHDの子どもにとっては困難です。

たとえば、私もADHD、ASD当事者であり、時間を守った行動は非常に苦手でした。

また遅刻だけでなく、「遅刻をしても俺が困るだけだし、遅れた分、長く練習すればいいじゃん(残業すればいいじゃん)」と考えて、反省もできませんでした。

今思えば、できないことで怒られ続けた反動なのですが、それだけ特性的に困難なことを身につけることは大変なのです。

しかし、今では時間を守って行動ができます。

それは、「その日の仕事先に2時間前に到着して、一番近い喫茶店で本を読む。そして、15分前になったら喫茶店を出て仕事先に向かう」というルーティンを確立したからです。