「電話に出るのがこわい」と退職したケースも

また似たような例で、在宅勤務にもかかわらず、「電話に出るのがこわくて退職した」という例もありました。

そのケースではコロナ禍かのとき、上司からかかってきた電話にすぐ出られず、「何してたんだよ。業務中なのに出ないってどういうことだよ」と叱責されたことがきっかけです。おそらく、上司は部下の姿が見えないことで、疑心暗鬼になっていたのでしょうが、在宅勤務中でも、トイレに行くことはあるでしょう。

何かのタイミングで電話に出られないこともあります。私自身もコロナ禍のときは、自宅で電話相談の仕事をしていましたが、会社からの事務連絡の電話に出なかったことで、激怒されたことがありました。

電話相談では、相談者は声を頼りに話を進めるために「音」にひじょうに敏感です。よって、スマホの着信音等にも気を遣い、消音モードにしていたために気づくのが遅れたのですが、説明すらできない状況でした。私の場合、その仕事はあくまでもたくさんある仕事の一部であったにもかかわらずダメージを受けたので、会社から社用携帯を持たされ、24時間つながっている場合、そうした状況にプレッシャーを感じるのもうなずけます。

おそらく、それがきっかけになり電話恐怖症につながってしまうこともあります。

電話を断れずに体調不良になってしまう

ケース4 長電話が切れず疲弊。友人づきあいが疎遠に

このケースは50代の方の事例です。昔からつきあっている仕事仲間の友人が長電話をしてきて困っている。自分の部署は朝が早いので、電話は20〜30分で切り上げて、明日に備えたいが、友人の話が終わらないというのです。

話の内容は毎回同じで、同僚の悪口、配偶者の愚痴、自分の体調の悪さなどが中心です。やっとひと通り聞き終わったと思ったら、また同僚の話に戻ってきて、延々とどこまでも続くそうです。

友達なら途中で「そろそろ」と言って切れるのではと思いがちですが、「拒否したら、もうつきあってもらえないんじゃないかと思って言えない」と訴えるケースが目立ちます。

年齢層が上がってくると、新しい友達をつくるのがたいへんだからという理由で、いやいや電話につきあっているわけです。結果として、夜の間にしなければならない家事や入浴、睡眠にも支障をきたすようになり、生活リズムがくずれてしまいました。

写真=iStock.com/Naoyuki Yamamoto
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イライラもつのり、友人からの電話にも愛想よく応じられなくなったために、結局疎遠になってしまったということです。