売上3兆円に到達するには海外の成長が不可欠

ただ、これでは2032年ビジョンとして会社が目指す売上3兆円には遠く及ばない。国内が1兆5000億円まで行けたとしても、海外を同規模まで成長させなければ、目指すステージには行けない、ということだ。海外店舗数は2022年度末129店舗から2023年度末179店舗と一気に50店舗を増やした。さらに今期は国内55店舗純増に対して、海外は116店舗の純増が計画されており、アジア地域でのさらなる出店加速が見込まれている。このペースでの成長がどの程度、業績に貢献するのか、詳細はまだ明らかにはなっていないが、ここは会社のチャレンジ精神に大いに期待したい。

ニトリは家具チェーンからスタートして、今や、家の内側に関するあらゆる商品、サービスを提供する企業へと進化した。家具業界での圧倒的シェアを獲得するとともに、生活雑貨全般においての存在感も大きい。さらに、ECチャネル開発、アパレル、家電製品などを軸に、ダイニング事業、ショッピングモール事業、リフォーム事業などにも取り組み、布石を打っている。

家具、インテリアにおいて圧倒的なシェアを得てしまっているため、既存事業での成長余地が限定的ではあるが、領域の拡張に取り組んで少しずつ実現しつつある。円安に苦しんだ2023年度を経て、直近では既存店売上、特に客数が回復基調にある(図表5)。連続増収増益の軛から解放されたニトリが新たにどんな布石を打ってくるか、大いに期待したい。

ニトリIR資料より筆者作成
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