不況に強い会社にはどのような特徴があるのか。マーケティングコンサルタントの酒井光雄氏は「特徴は大きく8つに分類できる。今回は『不況逆手型』のアパグループとニトリホールディングスの強さの秘訣を紹介しよう」——。

※本稿は、酒井光雄『不況を乗り切るマーケティング図鑑』(プレジデント社)の一部を、筆者が加筆したものです。

左から、アパグループ代表元谷外志雄氏、アパホテル 社長 元谷芙美子氏、ニトリHD 代表取締役会長兼CEO 似鳥 昭雄氏
撮影=平松唯加子、原 貴彦、的野弘路
左から、アパグループ代表元谷外志雄氏、アパホテル 社長 元谷芙美子氏、ニトリHD 代表取締役会長兼CEO 似鳥 昭雄氏

生き残るための「8つの不況対策パターン」

酒井光雄『不況を乗り切るマーケティング図鑑』(プレジデント社)
酒井光雄『不況を乗り切るマーケティング図鑑』(プレジデント社)

コロナショックによって社会の前提がガラリと変わると、企業は生き残るために、新たな打ち手を真剣に考える必要が出てきます。

そこで私は、過去の不況時に企業が採用した打ち手や、不況期に強い企業の特徴、ビジネスモデルが古くなった業界が不況をきっかけに新たな企業に代替されてしまうケース、さらに今回のパンデミックが引き起こした生活や仕事の変化による社会構造変化を踏まえた企業の取り組みなどを分析・研究しました。

そして、今回のコロナ不況に対して有効な打ち手となりうる、次の「8つの不況対策パターン」を抽出し、拙著『不況を乗り切るマーケティング図鑑』(プレジデント社)にまとめました。

〈8つの不況対策パターン〉
①不況耐性型
②適者生存ダーウィン型
③顧客との関係づくりを強化し、需要を創造するプロモーション型
④キャッシュ・コンバージョン・サイクル短縮型
⑤不況逆手型
⑥リアルとバーチャルの融合最適型
⑦ダイレクトリクルーティング型
⑧働き方支援型

本稿ではこのうち、⑤不況逆手型の2社を紹介します。アパホテルでお馴染みのアパグループと、ニトリホールディングス(以下ニトリ)です。不況をチャンスに変え、事業の拡大に成功させてきた企業の知恵を、ぜひ参考にしてほしいと思います。