「日本のカレー」はさまざまな飲食店で提供されている
「日本のカレー」は、発祥のインドカレーから独自の発展を遂げており、いまや1つの料理として認知されている。欧州の体験型旅行サイト「テイスト・アトラス」が毎年発表する「世界の美味しい料理トップ100」では、2022年の第1位に「日本のカレー」が選ばれたほどだ。
とろみや甘みが強く、さまざまな具材が入ることなどが特徴的な日本のカレーは、インドカレーとも欧風カレーとも異なる独自性を持ち、カレーライス、スープカレー、カツカレー、カレーうどん、カレーパンなど応用・発展を進め、食卓・給食・外食など、日本の食生活に広く浸透している。
外食に目を向けてみると、日本のカレーが提供される飲食店はじつに多種多様である。ファミリーレストラン、カフェ、牛丼店、うどん・そば店、和食・定食店など、さまざまなジャンルの店のメニューに入り込んでおり、高速道路のサービスエリアのフードコートやホテル・レストランのバイキングなどでも定番メニューになっている。こうしたたくさんのライバルに囲まれながら、「日本のカレー」専門店として国内外で著しい成長を実現しているのが、株式会社壱番屋の「CoCo壱番屋(以後、ココイチ)」だ。
2024年2月期の売上高は過去最高を記録
創業者が夫婦で開業した名古屋の喫茶店「バッカス」、その喫茶店のカレーが評判だったことから始まった壱番屋は、2024年2月期連結決算の売上高が551億3700万円(前期比14.2%増)で過去最高を記録し、ココイチが9割超を占めるグループ店舗網を国内1245店、海外12の国・地域で212店を展開している(2024年2月末時点)。さらに、現在の世界1457店の店舗数を、2027年に1660店、2030年には2100店まで急拡大させていく成長戦略を立てている。(※1)
※1 壱番屋「よく分かる壱番屋」「壱番屋長期ビジョン2030の数値目標と次期中期経営計画の策定に関するお知らせ」を参照。
2013年に「世界最大のカレー専門店チェーン」としてギネス認定されているココイチの飛躍の裏には、独自の社員独立制度や10年後継続率約9割を実現するノウハウなどで設計されたフランチャイズ制度、スパイスの専門商社でもあるハウス食品の傘下に入ることで実現しているスパイスの安定調達などがある。しかし、やはり最大の強みは商品力にある。「美味しい」「また食べたい」と多くの顧客から思われる商品力があるからこそ、ココイチは世界最大のカレー専門店チェーンになれている。