日本人の幸福度を上げたい

――スダチの活動を始める前は、コンサルティング会社で働いていたそうですね。

大学生の時に、世の中の職場環境がダメだから日本人の幸福度は低いんだという仮説を僕は立てていて、コンサル会社に入れば世の中のいろんな会社、いろんな職場に対してアドバイスできると思ったんですね。外部から、職場環境をよくするための何かができるんじゃないかって考えたんです。

3年ぐらい人事のコンサルをやった結果、職場環境ももちろん大事なんですが、それよりもっと教育の方が大事だなと思うようになりました。

というのも、同じ職場環境でもすごく楽しんで仕事している人もいれば、そうでない人もいる。どれだけ恵まれた環境でも、うつ病になったりする人もいる。だから環境よりも、そこに至るまでに受けてきた教育とか触れてきた思想とか考え方や親の存在といったものの方がよっぽど重要で、それをよくすれば、それだけでどこに行こうが幸せに生きていけるのではないか、という結論に至ったんですね。つまり、幸福度を上げるには教育をよくしなければならない、と。

教育をよくする手段はいろいろあると思っています。メンタルフレンドをやってみたり、フリースクールを作った経験もあるのですが、当時の私はうまくいきませんでした。教育によって世の中をよくできるという思いから、いろいろな手段がある中で、今は不登校や親子関係という問題に取り組んでいるわけです。

結果として、僕らのサービスを受けてくださった皆さんには幸せになっていただけていると自分たちとしては思っています。だから、当初やりたかったことはやれているなと思っています。

子育ては難しいからサポートが必要

――最後に、今後の展望について教えてください。

小川涼太郎『不登校の9割は親が解決できる 3週間で再登校に導く5つのルール』(PHP研究所)

小中学生や高校生であれば、学校という戻る場所があるのですが、大人の無職の方だと戻る場所がないんですよね。そこが難しくて、現時点ではサポートの対象は高校生までとしていますが、今後はそういった方々のサポートもやっていきたいという思いはあります。

それから、今までは再登校したらサポートも終わりというケースが多かったのですが、今後は再登校できた後も継続的に親御さんを支援する「子育てサポート」を、より多くの人たちに提供できればと思っています。再登校ができた後の悩みにも、できる限り答えていきたいと思うからです。

子育ては本当に難しいのに、悩む親御さんたちが「こうやればいいよ」と教えてもらえる機会が日本では足りないと考えていて、そこを担うことができればいいなと思っています。

(構成=村井裕美)
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