可能なかぎりの熱意を奮い起こすべき

さて、ハイパフォーマーたちの考える「意味」もこのようなものだろうか?

私たちは、HPI(Hogan Personality Inventory)のスコアが上位15パーセントに入った人の中から、1300人を無作為に抽出し、以下のような質問をした。

・何をもって、自分のしていることが有意味だと判断していますか?
・有意味なことをしているときはどのような気持ちになりますか?
・もし2つの良いプロジェクトのどちらかを選ぶ必要に迫られたら、どのような基準で、自分にとって最も有意味なプロジェクトを選びますか?
・何をもって、自分のしていることが人生に意味をもたらさないと判断しますか?
・何をもって、人生の終わりに、それが有意味な人生だったか判断しますか?

これらの質問は自由記述式だったため、私たちは、答えの中にパターンを探し出そうと隅々までチェックした。そして浮かび上がったのが、多くのハイパフォーマーが「意味」をもたらすものとして挙げていた4つの事柄である。

彼らが意味を感じている事柄その1は、「熱意」だ。たとえば、2つのプロジェクトのどちらかを選ぶ必要に迫られたら、自分が熱くなれるほうを選ぶと答えた人が多かった。この発見は他の研究結果とも一致する。

「熱意」は、満足度、ポジティブな情動、ネガティブな情動の少なさ、環境制御力(※1)、自己成長、ポジティブな人間関係、自己受容、人生の目的、エンゲージメント、意義、達成の独立予測因子(※2)であることがわかっているのだ。ポジティブな人生を望むなら、可能なかぎりの熱意を奮い起こすべきなのは明らかだ。

こうした研究結果に触発された私は、毎朝シャワーを浴びながら自分にこう問いかけている。「今日はどんなことに、ワクワクしたり熱くなったりできるか?」このシンプルな問いかけが、私の毎日への向き合い方を変えてくれた。あなたもぜひ試してほしい。

人とのつながりに求めるのは「安らぎ」ではなく「刺激」

ハイパフォーマーが意味を感じる事柄その2は「人とのつながり」だった。社会的に孤立した人たちは、人生の意味を失ったと回答している。社会的な関係性――特に身近な人たちとのつながりが、人生の意味をもたらすという回答が最も多かった。

ハイパフォーマーたちも、皆と同じように、生活や仕事における人間関係を大切に思っている。ただハイパフォーマーに特徴的なのは、特に仕事で、人とのつながりに意味を見いだしていることが多い点だ。人とのつながりに、「安らぎ」を求めているのではなく、むしろ「刺激」を求めている。

言い換えれば、ハイパフォーマーは、互いに切磋琢磨できる仲間たちの中にいたほうが、仕事がより有意味に感じられるのだ。日常生活においても、たとえば、一緒にいて楽しいだけの人や、普通にやさしい人とつき合うよりも、自分を成長させてくれ、刺激となる人たちとのつきあいに価値を置く。

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ハイパフォーマーが意味を感じる事柄その3は、「満足感」だ。彼らは、自分のしていることに個人的満足感を覚えると、人生が有意味だと感じる。

一般的な人びとから、その人にとって何が「満足」をもたらすのかを聞き出すのは、彼らが「有意味」をどう定義しているのかを聞き出すのと同じくらい難しい。だが、ハイパフォーマーの場合、何が個人的満足感につながるのかという方程式がはっきりしているのだ。

彼らは、努力の対象が自分の主な情熱と一致すると、個人的あるいは仕事での成長につながり、他者にも明確でポジティブな貢献をすることができる。そんなとき、努力に満足感を覚え、努力のかいがあったと言うことが多い。

情熱+成長+貢献=個人的満足感

また、安心感、自律性(※3)、ワークライフバランスも、特に仕事における満足感に重要だという研究者もいる。

努力をした「意味」があったとハイパフォーマーに言わしめる事柄その4は、自分の人生が「理にかなっている」と感じられることだ。これを心理学用語で「首尾一貫感覚」という。これは、自分の人生――または最近の出来事――のストーリーが腑に落ちるという感覚を指す。

この首尾一貫感覚は、ハイパフォーマーにとってことさら重要らしい。彼らは、自分の努力が、重要性の高いものと一致しているか、自分の仕事が意味深いものであるか、自分の人生がレガシーを残し、より大きな目的の役に立つか、といったことにこだわっている。

この首尾一貫性を求める気持ちは、多くのハイパフォーマーにとって、自律性やワークライフバランスよりも大切らしい。

彼らは、自分のしていることが理にかなっており、より大きな全体に貢献していると感じられれば、コントロールやワークライフバランスの追求を後回しにすることもいとわない。