成功するか、黒歴史を重ねるのか…オープンの日がやってきた

岡村さんは万全の準備をした。できる限りのことはした。だが、食ビジネスは難しい。成功するとは限らない。以前のラーメン店のように失敗して黒歴史を重ねてしまう可能性もあった。

2023年1月にオープンすると、インスタグラムのフォロワーが東京、大阪、北海道、沖縄など、全国から駆けつけた。岡村さんの努力が功を奏したのだ。弁当だけでなく、通販で販売している惣菜・ラーメン(いずれもグルテンフリー)のほうも好調だ。

毎日大繁盛になっている最大の勝因は、やはり潜在的なグルテンフリー消費者の存在だった。

「すごくおいしいお弁当で値段もそこまで高くない。完全グルテンフリーなのがすごい!」
「小麦アレルギーだとなかなかこういうお弁当を食べられない。遠方から来る人が多いのもわかる」

そんな書き込みも多い。

また、追い風もあった。店の存在を健康志向の芸能人やプロ野球選手、Jリーガーなどスポーツ選手が知り、クチコミなどで拡散してくれたのだ。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手もパフォーマンス向上のため、自分にマッチする食べ物しない食べ物を徹底的に分析した結果、卵やグルテンを摂取しない食事法を導入していると明かすなど(参考)、人々の食生活の中にじわじわとグルテンフリーは浸透してきた。

撮影=野内菜々
ユニフォームは2階事務スペースで洗濯するルールだ。。
写真提供=株式会社テマトジカン
グルテンフリーバイキング第1弾開催時の様子。東京、大阪など遠方から客が訪れた。
写真提供=株式会社テマトジカン
「『ピザ、私も食べていいの?』と聞くお子さんに、『全部いいんだよ』と涙を流して答えるママの姿に胸がいっぱいになりました。この風景をずっと見たかったんです」と岡村さん。