家族が同じタイミングで病院にかかっても安心
さらに、高額療養費には「多数回該当」というしくみがあり、療養を受けた月以前の1年間に、3回以上の高額療養費の支給を受けた場合には、4回目からの自己負担限度額がさらに下がります。
先ほどの区分ウのケースなら、3回目までは毎月8万7430円が自己負担の上限ですが、4回目からは上限が4万4400円に下がります。
また、たとえば会社員の夫と、その扶養に入っている妻のように、同じ公的医療保険に加入しているのであれば、世帯単位で払った医療費を合算して高額療養費の計算をすることができます。そのため、家族が同じタイミングで病院にかかっているときも安心です。
会社員のお父さんの医療費が10万円かかった月に、扶養に入っている妻や子どもの医療費が20万円かかったなら、合計した30万円をベースに高額療養費を計算し、お父さんの自己負担限度額までに支払いを抑えてくれるのです。
高額療養費の手続きは難しくありません。医療機関でいったん3割負担の支払いを済ませた後、「高額療養費支給申請書」を提出すれば後日給付を受けられます。会社員は勤務先を通じて、フリーランスなど国民健康保険の加入者は市区町村の役所の窓口で申請します。
美容整形や歯の矯正は「10割負担」になる場合も
ここで1つ覚えておいてほしいのですが、「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払い時点で支払う金額を高額療養費の自己負担限度額までに抑えられます。
入院しはじめた段階で多額の医療費がかかる可能性が見込まれるなら、ぜひ限度額適用認定証を取得しておきましょう。限度額適用認定証には最長1年の有効期限が設けられているので、常に持っておくのは現実的ではありませんが、入院などの事態が起きたときは速やかに手続きしておくことをおすすめします。
なお、高額療養費や限度額適用認定証の手続きは、会社員は勤務先を通じて健康保険へ、国民健康保険の加入者は役所の窓口で申請します。
気をつけなくてはならないのは、高額療養費の申請は「診療を受けた翌月から2年以内」という期限がある点です。期限を過ぎるとお金を取り戻せません。
また、美容整形や美容のための歯の矯正など、健康保険が適用されない医療サービスは、高額療養費を使えないだけでなく、自己負担が3割でなく10割に。大きな治療を受けるときは、事前に病院に「(公的医療保険を使える)保険診療かどうか」を必ず確認しましょう。