個人事業主の人は民間保険にも入ると安心

健康保険と国民健康保険を比べると、保障がより手厚いのは健康保険です。

とくに健康保険が強みとするのは、会社員本人だけでなく、その扶養家族まで医療費をカバーしてくれる点です。しかも、扶養家族が増えても保険料には影響しません。

本人の分の保険料を払うだけで、家族が何人でも健康保険の保障を受けることができます。

一方、国民健康保険の場合、扶養という考え方がありません。家族全員の所得に応じて1人ずつ国民健康保険料が算定され、合算した額を世帯主が負担します。つまり、家族が多いほど保険料は増えることに。

このように保険料面で違いがあるほか、給付にも差があります。たとえば「出産手当金」や、収入を保障する「傷病手当金」(『僕らを守るお金の教室』(サンマーク出版)227ページ参照)は、健康保険からは給付されますが、国民健康保険では支給されません。

フリーランスなど国民健康保険に加入している人は、会社員ほどの保障を受けられず、有給休暇もありません。病気やケガで仕事ができなくなると大きな金銭的リスクを負うことになるため、「民間の医療保険」や、収入減少に備えて「所得保障保険」などに加入したほうがいいでしょう。

国税局職員が説く「入っておくべき2つの保険」

私自身、公務員時代は民間の医療保険に入っていなかったのですが、独立して収入が不安定になったので入ることにしました。医療保険は「入院1日あたり○円」という形が一般的ですが、私は「1日でも入院すればまとめて25日分の保険金を受け取れる」という契約にしています。

最近は病院が患者を早く退院させる傾向にあります。退院しても自宅療養中に仕事ができなければ収入が減ってしまいますが、まとまった保険金を受け取れる契約にしておけばその点は安心です。

また、会社員であれ、フリーランスであれ、公的医療保険ではカバーできないリスクがあります。このようなものは民間の保険に入る必要性が高いです。とくに「自動車保険」と「地震保険」は入っておくことをおすすめします。

車を購入すると必ず自賠責保険に加入しますが、保険金の支払いには限度があります。たとえば死亡事故を起こした場合は、「被害者1名につき3千万円」までの補償にとどまります。また、建物などに損害を与える物損事故を起こした場合、自賠責保険では一切補償されません。

そのため、「自賠責保険では足りない部分」を民間の自動車保険で補い、いざというときに備える必要があります。