料金によって永代供養の期間が違う
伝統的に納骨堂文化が広がっている地域は、雪が多くて冬場の墓参りが困難な北海道や、仏壇文化が根付いている福岡などである。地域によっても、趣向が異なる。東京はどちらかと言えば、シンプルで実用的なスタイルのものが多い。代わって福岡のロッカー式納骨堂のほとんどは、仏像や位牌、仏具などを組み込んだ仏壇型と呼ばれる荘厳なものがほとんどだ。
名古屋の納骨堂は実に個性的だ。名古屋は冠婚葬祭の通過儀礼を盛大にやる文化で知られている。納骨堂もかなり派手だ。
名古屋の栄地区にも近い萬松寺は1552(天文21)年、織田信長の父、信秀の葬式が執り行われたことでも知られる。喪主であった信長は荒縄を腰に巻き、”傾いた”姿で葬儀会場に登場。いきなり仏前に向かって抹香を投げつけ、希代の「うつけ者」と呼ばれるようになった。萬松寺は日本史の名シーンの舞台でもある。かれこれ450年以上の年月を経て萬松寺は、信長の傾き様さながら、実に個性的な納骨堂を手掛ける寺院として新たな歴史を歩み始めた。
現在の萬松寺は1994(平成6)年に建て替えられた。本堂を備えるビルの中に5つのスタイルの納骨堂がある。中でも特筆すべきは「水晶殿」。壁面にクリスタルガラス製のカロートが2800基、びっしりと並べられている。入室するや、一つひとつのカロートに仕組まれた青色LEDによって空間全体が照らし出される。一般的な納骨堂のイメージとはほど遠い。
このように納骨堂といってもデザインも価格もさまざまだ。ただ、気をつけなければいけないのは、料金に応じて設定されている永代供養の期間である。短ければ納骨から7年(七回忌)、長くとも33年(三十三回忌)の期間が設定されていることが多い。7年はあっという間である。その後は合祀するか、再契約か、という選択に迫られる。
合祀の場合も、納骨堂と同じ場所の合祀墓であればよいが、遠く離れた他府県の寺に移されるケースもある。お墓は料金の安さだけで決めてしまうと、後で後悔しかねないので、管理者からしっかりと説明を聞いておくことが肝要だ。