お墓や葬儀におけるお金のトラブルを防ぐ方法はあるのか。国民生活センターによると、墓・葬儀サービスに関する相談は増加傾向にある。墓じまいの際にお寺から「離檀料」を請求された事例や、葬儀サービスで高額なプランを勧められるといった事例が届いているという。ライターの高橋ホイコさんが国民生活センターに取材した――。
日本の墓
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墓や葬儀関連で起こる“お金のトラブル”は近年増加している

日本の高齢者人口は増加を続けており、2025年には団塊の世代すべてが後期高齢者になります。65歳以上が総人口にしめる割合・高齢化率もおよそ3割と世界で最も高い水準になっています(内閣府「令和5年版高齢社会白書」)。

そういった時勢を反映してか、“終活”に対する関心は高まりを見せており、全国の消費生活センターに寄せられる「墓・葬儀関連サービス」に関する相談も増加傾向にあります(国民生活センター 各種相談の件数や傾向「墓・葬儀サービス」2023年9月1日更新)。どちらもお金がかかることなので、気になる人は多いことでしょう。

定年を迎えて、お墓をどうしようか考えはじめた人もいるのではないでしょうか。最近では、先祖のお墓を引っ越しする“改葬”が増えています(厚生労働省「衛生行政報告例」)。理由は「お墓を近くに移したい」「法事やお葬式以外では疎遠になっているお寺との付き合いをやめたい」などさまざまです。また「子どもに負担をかけたくない」などの理由から先祖のお墓を処分する“墓じまい”を希望する人もいます。

「改葬」には改葬元の許諾が必要

ところが改葬は勝手にはできません。一般に、改葬元の承諾を受けたうえで、自治体へ申請する必要があります。また、墓石の撤去が必要なことが多く、石材店に依頼し更地にして返還することになります。そこで起きうるのが、改葬元である菩提ぼだい寺や石材店とのトラブルなのです。

一方、葬儀関連サービスでは、広告では安価に見えたのに実際には高額になってしまったとのトラブルが発生しています。2020年3月には、「必要なものが全てコミコミ」「家族葬 これっきり価格」などあたかも追加料金がないかのように見える広告表示が、事実とは異なっていたために行政処分を受けた事例もありました(消費者庁「株式会社よりそうに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」2020年3月27日)。

お墓や葬儀は供養をしたいとの気持ちからすることなので、お金で嫌な思いはしたくないものです。全国の消費生活センターにどんな相談が寄せられているのか、国民生活センターに取材をしました。事例を読みときつつ、対応方法を考えていきましょう。

※消費生活センターは、商品の購入やサービスの利用に関する契約トラブルの相談を受け付ける都道府県・市区町村の機関。国民生活センターは、これらの機関に寄せられた苦情相談情報を収集し、情報提供を行っています。