ガソリン車、2WDのみの展開

車内は大人5人がしっかりと乗れるスペースが確保されており、後席の足元も広め。さらにラゲッジスペースは、標準時で458Lを確保しており、後席を倒して拡大することも出来る。

クーペライクなヴェゼルよりも室内空間がゆったりしているのは、四角いデザインの恩恵もあるが、実は、前後の車輪間の距離であるホイールベースが、40mm長いこともある。

パワートレインと駆動方式は、自然吸気仕様の1.5LガソリンエンジンにCVTを組み合わせた前輪駆動のみで、人気のハイブリッドや降雪地でのニーズの高い4WDは、非設定だ。但し、最低地上高をクラストップレベルの195mmを確保しているので、未舗装路や段差なども全く気にならない。

筆者撮影
WR-Vの最低地上高は195mm

グレード構成は、エントリーの「X」、充実装備の「Z」、外観上のパーツを追加してドレスアップを図った「Z+」の3タイプを用意。

基本的な装備も充実しており、先進安全運転支援機能「ホンダセンシング」を始めに、フルLEDヘッドライト、スマートキー、フルオートエアコン、前席サイドエアバッグ&サイドカーテンエアバッグなどを全車に標準化。

「Z」グレード以上だと、本革巻きステアリング、プライムスムース(合成皮革)を使ったコンビシート、LEDフォグランプ、自動格納機能付ドアミラー、17インチアルミホイール、ラゲッジスペースカバーなどが追加される。

高コスパの理由

オーディオやナビはオプションだが、それに加え、ETC車載器とフロアマット、ドライブレコーダーなどがあれば、十分な内容となっている。

試乗してみると、予想以上に走りが良くて驚かされた。限られたエンジンパワーをCVTが上手に引き出している感覚だ。シートのクッション性も高くて、乗り心地も良い。

エンジン車なので、ハイブリッド車のような静かさは求められないが、ロングドライブにも出かけたくなる運転の愉しいクルマに仕上げられていた。個人的には、誰にでも進めやすい一台だと思った。

筆者撮影
全開加速ステップアップシフト制御を搭載。アクセル全開時、エンジンを高回転まで早く到達させることでダイレクトな加速感を得られるという。サイドブレーキは手引き式。

お手頃価格の実現の秘密を解き明かしてみよう。ひとつは、海外生産の世界戦略車であることだ。同車は、タイにあるホンダの拠点で開発が進められ、インド工場で製造されている。つまり、開発費を含めたコストを抑えた新興国向けのクルマなのだ。

ややこしいのだが、ホンダは現在、「WR-V」というクルマをアジアや南米で販売している。今回販売された「日本のWR-V」より車体がひとまわり小さい。一方で、インドでは「エレベイト」(ELEVATE)というクルマを販売している。今回はこの「エレベイト」を「WR-V」として日本で販売している。