ゲーセンは「大型化」している

アミューズメント業界の行末を分析するためには、今後の経過を検討しなければならないが、ここでは日本アミューズメント産業協会の『アミューズメント産業界の実態調査』(最新データは2021年まで)から読み取ることができる、直近の変化をいくつか取り上げてみよう。結論を言うと、ゲームセンターの小型店と大型店の二極が増加している(図表3)。

筆者作成

まず、現在も大型店舗(ゲーム機設置台数201台以上)の数は伸びている(111軒増)のだが、101~200台規模の大型店舗の数は減少し(468軒減)、両者を合わせた大型店舗数は減少傾向を見せている。これは少なくとも現時点では、よりゲームセンターの大型化が進んでいることを示しているといえる。

次に、小型店舗も増加していることが特徴として挙げられる。しかも、増加しているのは小型店舗(ゲーム機設置台数20台以下と21~50台)のうち、20台以下の店舗(569軒増)だけである。場所を取らないカプセルトイ(ガチャガチャ)の売上が伸びている(約6億円増)こととも関係していると思われる。

小規模店の閉店は「衰退」か「発展」か

巷では閉店ばかりが強調されがちだが、国内においてゲームセンターの開店は続いており、GIGOやタイトーなど海外展開も進んでいる。アメリカではコロナ禍以後、レストラン、バー、ナイトクラブにスポーツやゲームを統合した「イーターテインメント(eatertainment)が急成長。日本ショッピングセンター協会の『SC白書』によると、eスポーツやゲームセンターも提供するデイブ&バスターズは42州に160店舗以上展開している。

もっとも、海外のゲームセンターの多くがファミリー向けとなっており、ビデオゲームを中心とした日本のゲームセンターとは異なる印象だ。私がアメリカで観察した限りでは、青年・大人たちも楽しんでいたが、カップルや友人同士で連れ合って楽しむ場所に感じられた。そこでは、ビデオゲームでハイスコアを狙い、相手と競り合うようなヒリヒリした空気を感じられない。

ひるがえって日本では、2021年までのデータにおいて、売り上げを伸ばしているのは景品提供機(クレーンゲームなど)であり、ビデオゲーム(シューティング、アクションなど)の売り上げは下がっている。

コロナウイルスに関係した規制が解かれ、人びとが求めたのは対面での遊び、競争だった。ゲームセンターを舞台に業務用ゲーム機を用いたeスポーツの大会、プロチームも誕生している。その意味で日本のゲームセンターは、まだまだ終わらない。もし、「ゲームセンター」が終わったのだとしたら、それは店舗の数ではなく、巧みな技を見せ合ったアツい時代が消え去ったときであろう。

今後、ゲームセンターはこれまで同様、時代の変化とともにその形を変えていくだろう。それを衰退と見るか、発展と見るか、単なるノスタルジーを超えて分析する視点が必要となる。

写真=iStock.com/CanY71
※写真はイメージです
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