世界一の微笑みで、世界一の果物を売る
わたしが話を聞くためにテーブルに腰を下ろしたら、瞬時に店長のオーラピウンさんが「届いたばかりです」と山梨産の白桃をむいて、フォークをつけて出してくれた。一緒に紙コップに入った冷たい水も出してくれた。海外の店でここまでサービスされることはよくあることではない。果物をむいて持って来るなんて、まるで日本の田舎の実家を訪ねた時のような接遇だった。
また、オーラピウンさんの接客を見ていると、欧米人であれば英語で、日本人であれば日本語で、タイ人であればタイ語で話す。極上の微笑みとともに抑制された声で「おいしいよ」と声をかける。商品を買っていった人に対しては「ありがとうございます」と胸の前で手を組み、拝むようにして送り出す。さすが「微笑みの国、タイ」の人たちである。
タイのスタッフの接客サービスは日本や他のアジア諸国を超えている。何より笑顔が身についている。はにかみながら、それでいて、とびきりの笑顔をサービスしてくれる。わたしは果物については日本産が勝っていると感じる。しかし、微笑みと接客サービスについてはタイの人たちにはかなわない。それがわたしの実感だ。