タイ人だけで運営するローカル店舗

話をしてくれたのはマネージャーのワンウィモン・チュライスィンさん、そして店長のオーラピウンさんだ。ワンウィモンさんの通称は「ミュー」。なぜ「ワンウィモン」が「ミュー」になるのかは定かではない。

マネージャーのワンウィモン・チュライスィンさん。タイ国内の4店舗を統括している
筆者撮影
マネージャーのワンウィモン・チュライスィンさん。タイ国内の4店舗を統括している

ともあれ、彼女のことはミューさんと呼ぶことにして話を進める。彼女はセントラルワールド店のマネージャーではなく、タイにある店舗すべての担当。日本語を解す人だけれど、日本に留学したわけではなく、バンコクの商工会議所にある日本語学校で学んだと言っていた。

「日本には個人的な旅行で2度、行きました。一度はシャトレーゼの本社と工場を訪ねました」

同社に入って6年目で、最初は菓子類の輸入手続きをやっていた。現在は店を回って運営についての相談に乗ったり、新店舗の開発なども担当している。

ミューさんは言った。

「タイには常駐の日本人社員はいません。タイ人だけでシャトレーゼ店舗の運営、販売促進などをやっています。時々、スーパーバイザーとして日本人社員がやってきます」

シンガポールのシャトレーゼには日本人社員が常駐していた。そこに比べるとタイはローカル化が進んでいる。

夏は白桃のショートケーキが一番人気

ミューさんは続ける。

「セントラルワールド店はタイにある店舗のなかで売り上げは一番ではありません。しかし、初めて出した(2017年)店です。こちらにいる日本人駐在員の方、家族にはなじみのある店だと思います。

今のお客さんの大半は欧米人観光客と地元のタイ人です。以前、セントラルワールドには伊勢丹が入っていたので、日本人のお客さんが多かったのですが、撤退した後は少なくなりました。欧米から来た方たちが日本風のケーキを食べています」

同店で客を問わず、いちばん人気がある商品は「日本産の生の果物と生クリームを使ったケーキ」だ。夏であれば白桃を載せたもの、秋はシャインマスカットだという。

一番上の棚に鎮座するのが夏の看板商品である白桃のケーキ。筆者が取材している間に完売してしまった
筆者撮影
一番上の棚に鎮座するのが夏の看板商品である白桃のケーキ。筆者が取材している間に完売してしまった

「タイ人は非常に甘いものが好きです。そしてタイのケーキはバタークリームのものが多いです。普通のタイ人にとって、シャトレーゼの生クリームは甘く感じません。しかし、だんだん慣れてきたようです。甘くなくて、きめの細かい生クリームを喜んで食べてくれます」(ミューさん)