ジャンプ的王道アニメとは180度違う
「勇者ヒンメルならこうしただろう」と旅先で困った村人の人助けをし、若い2人の気持ちや変化を配慮して師としての行動を見せるなど、冷淡なはずのフリーレンが徐々に人の心を獲得していく。
人は誰もが傷つき、失い、死んでいく。むしろ英雄の勇者や大魔法使いにとってすら、「人々の記憶に残らない」ということが最も不幸なことなのだ、ということをフリーレンは教わり、徐々に“人間らしさ”を獲得していく――。
本作は「友情、努力、勝利」の物語ではない。そんなわかりやすい目標とはかけ離れ、一見「意識低い系」冒険者の主人公たちが、ゴールなき出会い・対話・内省を繰り返す。
中世欧州ファンタジーの世界観を借景しながら、成熟した人間社会が振り返る“人間性の回復冒険物語”というのが本作品の主軸にあるように思える。
これまでの王道アニメとは180度違うRPG作品は海外ユーザーにもしっかりと受け止められた。
異世界作品の黄金時代
「一瞬一瞬で過ぎ行く名もなき登場人物との接触そのものがフリーレンが長すぎる人生で感じている“時間”であり、我々がそれを追体験できる形式で描いているからこそ傑作になった」
「目的、意味、自身の最後。この人生における質問に向き合った作品」
「これほど愛すべき女性キャラクターが丁寧に書き込まれた作品は珍しい(男性優位のバトルRPGの世界で)」
「マッドハウスだからこそ描けた作品、エピソード4でフリーレンの先生が出てくるシーンは短いがマジでエモい」
といった絶賛コメントが並ぶ。
今シーズンで当初期待値から急激にMembersを増やしたアニメ作品は『フリーレン』(9万人→54万人)、中世中国ファンタジー『薬屋のひとりごと』(8万人→24万人。こちらもScore8.9で、Rank22位と超高評価作品)、そして『シャングリラ・フロンティア』(3万人→16万人)である。
2020年代は、2010年代に量産された異世界転生作品アニメ化の黄金時代であり、今後もマス化・一般化が進むことだろう。