「裏切られた」という被害者意識

フワちゃんの裏の顔が見えただけなら、話は単純だっただろう。清純派で売ってきていたのに不倫をしていた、とか、真面目キャラだったのに腹黒かった、といった程度なら、これほどまでのバッシングは受けなかったに違いない。

フワちゃんは、裏アカがある、と公言してきた(現在は凍結中)し、すでに書いたように、「礼儀知らず」を売りにしてきた。同時に、それはメディア向けの仮の姿であり、本当は、ちゃんとしているのではないか。こんな落差のほうを最大のセールスポイントにしてきた。

だから、ネットユーザーをはじめとして、彼女を応援していた人たちも、みんなが、「裏切られた」との被害者意識を強めている。自分たちが、フワちゃんの営業テクニックに騙されていた事実を突きつけられて、怒っているのである。見る側が勝手にイメージを押し付けていたのなら、まだ、フワちゃんに同情の余地があるのだが、ここまでの経緯に鑑みると、かばうのは、なかなか難しい。

しかも、フワちゃんが、やり玉に挙げたポストは、「地雷」としか言いようのないものだったのである。

オリンピックが盛り上がる中で…

やす子のポストは、非常に時宜にかなったものだった。金メダルの期待を背負いながら惜しくも敗れた選手たちへの誹謗中傷が社会問題となる中で、あえて能天気とも思えるポストを投じる。暴言を浴びせる側も浴びてしまっている側も、どちらも非難せず、ギスギスした空気をやわらげよう。そんな社会貢献とすら言えるようなポストだった。

メダルラッシュに沸く五輪、そして、罵詈雑言に皆が心を痛めるなかでなされたのが、やす子の心温まるポストだった。二重にも三重にも「正しい」対象に、フワちゃんは牙を向く。フワちゃんの悪意は、軽い気持ちでなされた冗談や揶揄ではない、心の底からの、筋金入りのものだったのではないか。そう疑わせるに十分だったために、言い訳の余地がない。

それどころか、五輪に盛り上がる中で、「予選敗退」はNGワード以外の何ものでもない。五輪選手ばかりか、出場できなかった多くの人たちにとって、「予選敗退」は、人生を否定するほどのインパクトを持つ。

もう、フワちゃんのポストは、いつものキャラゆえに軽率に発したとは受け取られない。それこそ炎上が収まらない要因と言えよう。

フワちゃんの他にも、「タメぐち」を看板に掲げてきたタレントは多い。その筆頭にマツコ・デラックスが挙げられるだろう。では、なぜマツコは、炎上しないのか。