イスラエルは違法な占領をやめるべきだが…

イスラエル政府は、この不法に占領している土地を「入植地」として大勢の国民を移住させています。当然ながら、この入植も国際法違反です。つまり土地を巡る争いでは、国際法的にはイスラエルが違法行為を行っており、パレスチナ側の主張が正しいと言えるでしょう。

一方で、国際政治の歴史を振り返ると、世界ではいつの時代も土地をめぐる戦いの連続でした。殺し合いに勝った集団が多くの土地を獲得して大きな国家を築き、負けた集団はより小さな場所に追いやられるか、住む場所を失って離散するか絶滅してきたのが現実です。

しかし、現在の国際社会ではこうした“現実論”などで問題を片付けることはできません。国家が武力によって領土を獲得してよいということになれば、世界の秩序は崩壊します。ウクライナを侵略するロシアの行動を認めることにもなります。やはり、最終的には国際法というルールと政治的な妥協による解決しかありません。イスラエルは違法な占領をやめなければなりません。

その国際法というルールについて言えば、イスラエルもハマスも両者ともに民間人の殺害など非人道的な行為を繰り返してきたのは事実です。両者とも国際法に違反した行為を繰り返しています。

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なぜ和平合意が何度も破られてしまうのか

一方の政治的な妥協については、イスラエルもパレスチナも何度も話し合いを持ち、和平合意が結ばれてきました。イスラエルにもパレスチナにも、自分たちの主張を押し通すだけでは問題が解決しないと理解している人たちがいるからです。さもなければ殺し合いだけが続くことも分かっています。

このため何度も和平交渉が行われ、実際に何度も和平合意が取り交わされてきました。1993年の「オスロ合意」が代表的です。しかし、そうした平和の約束は何度も破られてきました。

なぜでしょうか。

理由の一つは、パレスチナ、イスラエルの両方に「妥協を拒否する人々」がいるからです。まず、入植地に住むようになったユダヤ人たちは、自分たちが「国際法に違反する土地に住んでいる」とは決して認めません。入植者たちは政府の入植政策を支援するイスラエルの政党に投票し、そうした政党がイスラエル政治で大きな力を持っています。彼らはパレスチナ側との妥協を拒否します。

実際に、イスラエル建国史上、最長の首相在任期間を誇るネタニヤフ政権は、ますますそうした占領地域の住民の支持に支えられるようになっています。ネタニヤフ首相とその支持者らは国際法に違反しているかどうかなど、全く気にしません。これが平和を妨げる問題の核心でもあります。