このように、株主資本比率の水準が高いか低いかをみれば、その会社の財務の安全性がある程度判断できます。また、一般的には収益性が高い会社ほど株主資本比率が高く、収益性の低い会社ほど株主資本比率が低いという傾向があるといわれています。

私は、原則として株主資本比率60%以上を銘柄選びの1つの目安にしています。ただ、株主資本比率だけで決めるわけではないので、さまざまな項目をチェックしたうえで50%を超えていれば、その銘柄を買うことはあります。

会社の規模にも着目を

株主資本比率が60%以上ならばどんな会社でもいいのかというと、実はここにもう1つの条件を設けています。自己資本比率が60%以上の会社というと、借金があったとしても非常に少ないか、ほとんど無借金で経営ができている会社といっていいでしょう。

ですから、こうした会社は倒産する可能性はきわめて低いといえます。しかし、それなら株主資本比率が60%以上ある会社ならどんな会社でもいいかというと、私はそうは考えていません。

会社にはある程度の規模がないと、経済環境やその業種の好不調によって大きな影響を受けることがあります。好不調の波をモロに受けると、収益が不安定になり、短期間のうちに借金があれよあれよと増えて、株主資本比率が急激に下がっていくということもあります。

そうなると、倒産の不安も出てこないともかぎりません。そのリスクを避けるため、私はある程度の規模会社を選ぶことにしています。

私の基準は「時価総額30億円以上の会社」です。これは私の基準であって、人によっては時価総額は50億円以上とか、100億円以上じゃないと手を出さないという人もいるでしょうね。しかし、自分なりの基準を作ることは大切なことです。

値上がり益だけでなく配当もある程度狙う

株式投資には株価の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うやり方と、預金金利よりも有利であれば配当を狙うやり方があると、一般的にはいわれています。どちらかというと、キャピタルゲインを狙う投資方法はわりあいに短期で売買を繰り返し、配当金を狙う投資方法は長期に保有するといわれます。

バリュー投資も、第一義的にはキャピタルゲインを狙うわけですが、長期間保有することになった場合、配当利回りがよければパフォーマンス(運用利回り)に貢献してくれます。