そのため、その間のキャピタルゲインだけでなく、配当に関しても基準を設けています。配当の利回りは1株の取得価額に対して配当金がいくらかということで計算します。1株500円で買った株の配当金が6円だったとしたら、配当の利回りは6円÷500円×100で1.2%となります。
グレアムは長期国債の3分の2以上の配当利回りを、基準の1つだといっています。現在のアメリカの長期国債(10年もの)の利回りは4%ほどなので、グレアム基準でいけば配当利回りは2.6%以上なければなりません。
日本の場合は国債の利回りが低いという事情があります。日本の10年もの長期国債の利回りは1%程度なので、これをグレアム基準に合わせると配当利回りは0.66%以上ということになります。この数字では低いので、私は独自に2%以上という数字を基準にしています。
これまで、日本の会社は業績に関係なく配当してきましたが、最近では業績に連動して配当を増やしたり減らしたりすることが多くなってきました。そこで、「大幅な減収がなく、配当金が引き下げられる恐れの少ない会社」であるかどうかもチェックするようにしています。
自社株消却を過去に行っている会社はポイントが高い
私が機械的に銘柄を選ぶときの基準に「自社株買いをして、それを消却している会社」というのがあります。自社株消却をすると、投資家にはいったいどのようないいことがあるのでしょうか。わかりやすく例を挙げて説明してみましょう。
ここにABC製作所という会社があります。この会社の株価は1600円で、1株あたり200円の利益をだしていたとします。そのときに、この会社の時価総額は80億円でした。つまり、80億円あればこの会社を丸ごと買えるのです。
ところが、この会社はキャッシュだけで80億円持っていました。ABC製作所は手持ちのキャッシュ80億円の半分にあたる、40億円を使って自社株消却を行ったとします。この会社の発行済み株式数がいくらあるかはおいておくとして、今ある発行済み株式数の半分はなくなってしまうのですから、これまで1株利益は200円だったのが、2倍の400円になります。株主にとっては1株の利益が2倍になり、さらに1株あたりの現金は変化しないので、株主価値が高まることになります。