割安株を見つけて投資する「バリュー投資」。具体的にどのような基準で銘柄を選ぶのか。3年間で資産を20倍に増やした「しん」さんは「ある数字さえチェックしておけば、その会社の財務の安全性がある程度判断できる」という――。

※本稿は、しん『電子版 謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

米国最高裁判所の柱
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どういう基準で「割安」と判断するのか

バリュー投資は会社の本当の価値よりも低い株価の銘柄をみつけて、それに投資をするという投資方法です。会社の価値をはかる方法はいろいろあります。よく使われる株式指標のPBR(株価純資産比率)も、会社の価値から株価が割安かどうかをみる指標です。

バリュー投資の父ベンジャミン・グレアムは、流動資産から負債を差し引いた会社の解散価値が、時価総額の3分の2以下の銘柄を買うという基準を設けて投資をしています。つまり、会社の解散価値と株価を比べて割安かどうかを判断しているわけです。

また収益面からは、きちんと利益を出している低PER(株価収益率)の株を見つけていこうとグレアムは考えました。それも、できるだけ当時のアメリカの長期国債の平均的な利回りである、5.5%の利回りを大きく上回るものを見つけようとしました。PERでいえば10倍以下ですね。

前回記事(「伝説の投資家バフェットもこれで大金持ちになった…誰でも実践できる“バリュー投資”の基本の『き』」)で説明したとおり、PERが10倍以下の会社を選ぶということは、収益に対する「安全域」を確保するということです。株式益回りにすると、10%以上ある会社を選ぶということです。

バリュー投資を始めた時、私はこれらルールを「買い」の基準の1つとして、ポートフォリオを組み替えました。