人の心にひっかかり、強く印象を残す文章とは
●教科書のような文章でつまらないと言われる
●「あなたの文章は、思いが伝わってこない」と言われる
●正しいけれど、誰でも書ける文章しか書けない あなたへ
文法的には間違っていないけれど、平凡でつまらないと言われる。学生時代に国語が得意だった人によくある悩みです。
公的なメール文などには「文法上正しい、常識ある日本語」は必要です。しかし、ネットで検索すればいくらでもそのサンプルがある時代。少し学校で習った国語を忘れて、ここでは人の心にひっかかり、強く印象を残す文章の書き方を学びましょう。
近年、大学生に「よい日本語とは何か」と尋ねると「google 翻訳がきれいにできる文章」という答えが返ってきます。SNSが世界に発信されるとき、世界の言語にすぐ翻訳される言葉のほうが波及力がある。
そう考える人が増えるのも当然でしょう。正しい日本語の概念は日々変わっている、まずはそれを認識しましょう。例えば、AppleのHPでは、「~してまいります」「~致します」といった敬語はほとんど使いません。「~します」「~を目指します」と言い切る文章が多いので、強い意思を感じることができます。
時制をまぜて、文章に独特な動きをつける
私たちは、英語の授業で「過去形と現在形をまぜてはいけない」と学びました。その影響で、過去を語るときに現在形を入れるのは間違いのように思い込んでいますが、そんなことはありません。樋口裕一先生は「実際の行動を書いた文は過去のままで。様子を説明するときは現在形で書く」(『頭がいい人の文章「すぐ書ける」コツ』三笠書房)と言っています。
これに従えば、「飼い犬のポチが逃げた(過去)。私は、近所を探し歩いた(過去)。雨がしきりに降っている(現在)。車が通ると、水しぶきがあがる(現在)。私は、歩く速度を早めた(過去)。『ポチ!』と小さく叫んだ(過去)」。現在形と過去形をまぜれば、文章に動きがでます。
POINT① 企業HPから「読まれる文章」を学ぶ
企業HPやWebサイトを見てみましょう。わざとひらがなを使って簡単な印象を与えたり、改行の代わりに一段スペースを空けて余白をつくっている。過剰な敬語を抑えて強い意志を示したり、親しみを出そうとするケースもあります。
現在は、パソコンですぐに漢字変換できるため、若い人を中心に難しい漢字を使う傾向にありますが、「どうすれば読んでもらえるか?」という視点を忘れないようにしましょう。
POINT② 時制をまぜると、臨場感が出る
過去の出来事を伝える場合、「現在形」と「過去形」を織りまぜると文章がいきいきします。なぜなら、文末が単調ではなくなりリズムが生まれるから。現在形を入れると、状況に巻き込まれたような臨場感が生まれる。つまり、視点が増えるわけです。過去の出来事だからといってすべてを過去形にするのではなく、そこで見えた景色などは現在形で書いてみましょう。