オランダで注目浴びる「キノコ(菌糸)葬」

風車のある風景が印象的なオランダでは、自然葬が根付きつつある。同国は世界に先駆けて同性婚を合法化し、大麻や売春も認めるなど、自由・寛容な国家としても知られている。

オランダは環境負荷を減らしながら、ビジネスを回していくサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方が広く浸透している環境先進国だ。例えば、廃棄物や廃棄食材などを活用し、再利用する取り組みが企業間で広がっている。首都アムステルダム市は2050年までに完全なサーキュラーエコノミーへ移行する目標を立てている。政治、経済、文化、宗教……いずれも日本とは対極にある国といえるだろう。

葬送のあり方も最先端をいっている。同国では近年、「キノコ(菌糸)葬」と呼ばれる葬送(コンポスト葬)が注目を浴びている。ベンチャー企業「Loop」が開発した。キノコ葬とは菌糸によって遺体が納められた棺桶ごと朽ちさせ、土に還す究極の循環型埋葬法である。同社では2020年以降、サービスを開始している。

創業者のボブ・ヘンドリックス氏とロネケ・ウェストホフ氏は、デルフト工科大学の卒業制作でキノコ葬に着目した。キノコは地下に菌糸を伸ばし、死んだ有機物を栄養に換える働きをもっている。キノコの菌糸は原発事故で汚染されたチェルノブイリの土壌を清浄化させるためにも使用されているという。

同氏はホームページ上で「私たちは自然を回復し、将来の世代のために地球を守るためにこの事業を始めました。人間は死んだ後も、前向きな影響を与える必要があります。私たちのアプローチは、自然と協力して、生命のサイクルに栄養素を還元することです」などと述べている。

キノコ葬で使用される棺桶は「生きた棺」と呼ばれ、国内に生息しているキノコとリサイクルされた麻繊維でできている。内部には苔のベッドが敷かれ、遺体を包む素材も麻である。

遺体が納棺されるとまず、この棺が45日以内に分解される。その後、遺体は2年から3年かけて腐敗する。棺と遺体は土壌の養分となって、新たな命を生み出す源泉となる。埋葬地には何も残らない。