火葬文化の日本にコンポスト葬が「上陸」する余地はあるか
同社のサービスを受けたデン・ハーグ在住の女性は「祖母と私は森の中で一緒に過ごすのが好きでした。祖母はテレビで生きた棺を見て、自分もこの自然の生命の循環の一部になりたいと言い、私たちは同社に連絡しました。埋葬のプロセスは、実に心温まるもので、祖母と私にとって穏やかで敬意に満ちた体験となりました」と感想を述べている。
同社の「生きた棺」は3種類ある。繭玉を模したキノコ棺(ループ・リビング・コクーン)は一般的な土葬用で、教会で葬儀を執り行った後、自然保護林に運ばれて埋葬される。
蓋がついていないタイプのもの(ループ・フォレスト・ベッド)は、風葬に近いイメージ。火葬骨を自然に還す場合には、同様の素材のキノコ壷(ループ・アース・ライズ)を用意する。骨壷の内部には腐葉土が入れられ、植物を植えられるようになっている。まるで植木鉢のようだが、この骨壷自体も早期に分解される。
これらの生きた棺は、自然埋葬が可能な保護林(同国内に6カ所)に埋葬され、完全に自然に戻るという。大自然の安息地は現在、さらに1カ所造成中だ。
近年、多死社会のため長期間の火葬待ちも多いだけでなく、東京都心の民間火葬場では火葬料金の値上げが続いている。都内で6つの火葬場を運営する東京博善は、火葬料の下限を9万円にまで値上げした。都民からは悲鳴が上がっている。これでは費用面でも、地球環境面でもエコとは言い難い。わが国の火葬文化とは対照的なコンポスト葬が「上陸」する余地はありそうだが、どうだろうか。