毎年「鹿児島県民全員」がいなくなるスピードで人が死んでいる

未知の多死時代へと突入――。厚生労働省はこのほど、2023年の死亡数が過去最多の159万503人となったと公表した。3年連続で過去最高を更新し続け、従前の予測値「2030年に死者160万人」より5年以上も早く達する見込み。統計学上の予測よりも上回る「超過死亡」状態が続く異常事態といえる。多死社会は、何をもたらすのか。すでに「死の現場」では異変が起きていた。

厚生労働省が公表した人口動態統計速報(2023年12月分)によれば、2023年1〜12月の出生数は75万8631人で過去最少となり、8年連続の減少(対前年4万1097人減少、△5.1%)となった。対し、死亡数は159万503人で過去最多を記録し、こちらは3年連続の増加となっている(対前年8470人増加、0.5%)。

死亡者数から出生数を差し引いた自然減数は過去最大となる83万1872人となり、激しくわが国の人口が減少していっていることがわかる。

ちなみに、婚姻件数は48万9281組。前年よりも3万542組減少(△5.9%)した。離婚件数は18万7798組と4695組増加(2.6%)した。「孤独社会」も、進んでいるようだ。

わが国の人口は、明治維新時点(1868年)でおよそ3300万人だった。以降、急増し、1945年の終戦時でおよそ7200万人を数えた。2008年には、ピークの約1億2808万人に達する。

だが、それ以降は減少局面に入っている。今後は少なくとも100年以上にわたって、人口が減り続けると予測されている。

国立社会保障・人口問題研究所によれば、2052年に1億人を割る。2070年には8024万人になると推計される。このまま、劇的な社会変動や、画期的な人口対策が取られなければ、現在から100年後の2125年には5000万人を切ってしまうと見込まれる。

いずれは、江戸時代の人口レベルまで戻ってしまうのは自明だと思う。政府は少子化対策に躍起だが、「世の摂理」に抗うことには、どだい無理があるのだ。

死者数は平成に入ってからの34年間でおよそ倍増した。年間死者数160万人という数字は、鹿児島県の人口とほぼ同じである。まるで、ゆっくりと海へと流れ出てきた巨大氷河が、海に向かって崩落する最終段階のように、人が消えていく時代に入ったのだ。