受験シーズン合格祈願の「絵馬」の情報が狙われている

個人情報保護の機運が、宗教界でも高まってきている。たとえば、神仏に奉納される「絵馬」には、センシティブな情報が書き込まれていることがある。また、寺院で保管・管理されている「過去帳」の開示は「御法度」になっている。一方で、あまりに個人情報保護を厳格化すると、宗教文化の消滅や調査・研究への妨げにもなることがある。SNS社会の到来によって現場の寺院や神社は、難しい判断に迫られている。

受験シーズンが到来した。「第一志望の○○大学に合格しますように 東京都世田谷区○○1丁目2-3 山田太郎 令和6年1月15日」。この時期、各地の神社や寺院の境内では、合格祈願の「絵馬」が数多く掛けられているのを目にする。

絵馬
写真=iStock.com/Tolga_TEZCAN
※写真はイメージです

絵馬に願いを託すのは、受験生だけではない。「□□さんと結婚できますように」といった縁結び、「がんの手術が成功しますように」などの病気平癒、「赤ちゃんが無事産まれてきますように」との安産などの祈願もある。

絵馬には、他人の目にさらされたくない情報が多分に含まれている。同様に、密教系の寺院では「護摩」が行われているが、火にくべる護摩木にも同様に氏名、祈願文が書かれている。

合格祈願や縁結びなどのポジティブな願文は、まだマシなほうかもしれない。全国には「縁切り」で知られる寺社が多くある。京都市の安井金比羅宮、栃木県足利市の門田稲荷神社などが、縁切りで有名である。

神社に掛けられた絵馬
撮影=鵜飼秀徳
神社に掛けられた絵馬