「容認」もボーリング調査は止まったまま
ただ気になるのは、せっかく山梨県内の調査ボーリングに合意したのに、そのボーリングが現在止まっていることである。
7月15日に国のリニア静岡工区モニタリング会議の矢野弘典座長らが、山梨県早川町の山梨工区の調査ボーリングを視察した。
矢野座長らが視察した際、調査ボーリング地点は県境手前339メートルだった。
これは、鈴木知事が6月18日に山梨県のリニア工事に合意した時点と全く変わっていない。つまり、約1カ月間、県境手前339メートルのまま止まっている。
5月20日に459メートルの地点で調査ボーリングを再開して、6月18日には、339メートルの地点まで到達していた。
単純計算でもし同じペースであれば、7月15日には県境手前300メートルを越えて、220メートル地点まで進んでいなければならない。
調査ボーリングは止まったままだから、まだ山梨県内の断層帯に至っていない。県境手前300メートルを越えて破砕帯にぶつかり、大量の出水があるのかどうかわかるのはこれからである。
リニア工事は一筋縄ではいかない
冒頭に触れた各紙の報道で、岐阜県、山梨県、長野県でもJR東海の思った通りには行かず、リニア工事が長引いていることが明らかになった。
静岡、山梨県境の調査ボーリングが何らかの原因で止まっているトラブルなどまだほんの序の口である。南アルプスの地下では何があってもおかしくないのだ。
「世界最大級の活断層地帯」南アルプスのリニアトンネル工事は不確実性の高い難工事となるとわかっている。
まさに未着工の静岡工区は、南アルプスの活断層地帯の中心にある。
大きな障害だった川勝知事がいなくなっても、リニア工事が順調に進むのかどうか、すべてこれからである。