仲良しを引き裂くフレネミーとサークルクラッシャー

2020年頃、福岡県でママ友たちの間で孤立した女性が、支配的なママ友に洗脳され、我が子を虐待、餓死させてしまうという悲惨な事件もありました。

これも支配的なママ友がグループ間に悪口を言い、ターゲットになった本人を孤立させ、その孤立したターゲットに対して「私だけがあなたの味方よ」と安心させて、金銭を搾取し続けたのです。

このように仲良しのグループの仲を引き裂く人を「サークルクラッシャー」あるいは、「フレネミー」とも呼びますが、言い換えれば「他人の幸せが許せない人」です。

このような人は、自分の欲求不満やストレスや周りへの敵意を表現できない人が多く、表面的には「いい人ポジション」を取り、心配するふりをして他人をおとしめる行為を行います。

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だから周りの人はまず気づかないことが多く、しかも本人はいい人ポジションで「被害者」であることをアピールしてくるので、ターゲットにされた人は知らないうちにフレネミーの引き起こすトラブルに巻き込まれてしまいます。

しかし、このような人物は、自分の積み重なってきた幼少期からの敵意や憎しみを隠して、幸せそうな人を邪魔したり、引き摺り下ろしたりして憂さ晴らしをするので、周りからは最終的に孤立してしまうことになります。

このような「他人の幸せが許せない人」のターゲットにならないためには、他人の悪口を手土産にして近づく人物には最初から警戒するということが大切です。

うっかりその悪口に賛同してしまうと、あとで「○○さんも同じようにあなたの悪口を言っていた」という言質を取られてしまう可能性があります。

そもそも人の悪口を手土産に近づく、ということにはなんらかの悪意が隠れています。そのような人物に対しては、警戒して秘密は明かさないよう心掛けることと、想像や他人の言葉ではなく、現実や事実を見て客観的に判断する意識を持つことが大事になります。

「笑顔、穏やかに過ごす」対処法が、関係を悪化させる

怒りを直接表現しない嫌がらせや、巧妙な意地悪や受動的な攻撃などは、わかりにくくて目には見えません。そのため攻撃を受けた側が指摘したり、非難したりすることは難しいものです。

そのような攻撃を受けたときにどうしたらいいのでしょうか。

その対処法として多くの人は次のように考えます。

「笑顔でやり過ごす」
「波風を立てずに、穏便に、平穏を保つこと」

しかしどうでしょう。

現代はパワハラ、モラハラをはじめ、最近ではモンスタークレイマー、カスタマーハラスメント、モンスターペアレンツ、モンスターペイシェントなど、新しい言葉が次々と生み出されています。

それくらい現代人はストレスの処理ができずに、未解決の自分の葛藤や怒りの矛先を関係のない他人に向けて発散してしまうのです。

特に最近はこのようなハラスメントに対する対策や理解がなされているのに、一向になくなる気配はありません。

なぜなら、「やってはいけないことだ」と禁止されればされるほどにその怒りを抑圧してしまうから。つまり自分の中の怒りやストレスを抑圧して、自分の中にはそのような感情はないという善人でいなければならなくなるのです。

「自分は善人であり正しい」という前提で生きようとすればするほど、心の中で起きる葛藤が大きくなり、自分の中に湧き上がる怒りやストレスはかえって大きくなって処理不能になってしまいます。