「あれから何年とか関係ない」

――これから被災地とどう向き合って行きますか?

【伊達】5年とか10年とか、あれから何年とか関係ないですね。あの日からいろんなことに直面しながらずっと暮らしてきている。

福島県相馬市のレストランのオーナーは「10年経って今ようやく観光1年目」とおっしゃった。区切りでも終わりでもなく、今まだ緒についたばかり、やっとこれからという段階なんです。

東北魂義援金口座はこれからも続けるつもりです。これまでは震災孤児に渡してくださいと届けてきたんですが、その分野には行き渡りつつあるので、今度は義援金で何か形に残したいなと。

いま被災地では避難スペースにもなる公園などができていますが、そういうところに子どもの遊具とかベンチとか作って形を残したい。義援金を寄せてくださった方々がそれを見るために東北に来ていただくことにもなります。

写真=共同通信社
あれから何年とか関係ない(仙台市役所を訪れ、郡和子市長と写真に納まるお笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおさんと富沢たけしさん、2022年3月10日)

「僕らに風化はない」

――テレビや舞台を通じても何か?

【伊達】地元のテレビ番組は続けます。月1回、必ず来てロケをやって。それからライブも。実はこの10年の節目に計画していた幻のツアーがあったんです。これ富澤が考えたんですけどね。

【富澤】僕らは毎年ライブは日本全国を回ってるんですけど、今回は東京や大阪などではやらず、三陸海岸の都市だけをずっと回ろうと。今回のツアーはそこでしかやらない。すると、見たいという方々や関係者が全国からも三陸に来てくれるでしょ。震災10年に合わせてやろうと。でも、新型コロナで結局ツアーそのものが中止になってしまいました。残念でしたが、これ必ずいつかやろうと思っています。

鈴木哲夫『シン・防災論』(日刊現代)

――お二人がぜひ伝えたいことは

【伊達】世の中10年も経つと風化ということが言われますが、ついこの前の地震(2021年2月13日の福島県沖地震、マグニチュード7.3、宮城県と福島県で最大震度6強)もそうだけど、みんな10年前をすぐ思い出した。思い出すということはあの時がそのまま、まだ頭にあるんです。僕らに風化はない。風化という言葉を使わないで欲しいと思います。

【富澤】とにかく東北に来て欲しい。東北は海のものもおいしいしお酒もおいしい。実は僕らはお酒を飲めないんですけどね(笑)

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