組織の序列が上の人ほどサイコパス度が高い

ただし、バビアクの調査では、サイコパスが悪く評価されている点もありました。

それは、一匹狼としてならよいけれども、チームの一員として周囲とうまく歩調を合わせることができない、というところです。

つまり、サイコパスはリーダーには向いているものの、チーム一丸となり、同じ目標に向かって邁進する仕事には向いていないようです。要するに、チームプレイが苦手なのです。

また、サイコパスには「無責任」というネガティブな評価もありました。サイコパスは、自分の好きなことには全力を出しますが、気に入らない仕事は手を抜きます。

そういう点が、いいかげんだと思われることもあるのでしょう。

もうひとつ、別の研究もご紹介します。

英国の国立大学であるアングリア・ラスキン大学のクリーブ・ボディは、サイコパスは難しい仕事にも果敢に挑戦することができるので出世しやすいのではないか、という仮説を立てました。

この仮説を検証するため、346名のホワイトカラーについて調査をした結果、やはり組織の序列でいうと、上の階層になればなるほど、サイコパス度が高くなることがわかりました。

下のマネジャーよりはミドル、ミドルよりはさらに上のシニア・マネジャーのほうが、よりサイコパスの度合いが高くなっていたのです。

つまり、どんどん出世していけるという点では、サイコパスは羨ましい特性を持っている人だと言えるでしょう。

「誇大妄想狂で自信家」ゆえのチャレンジ意欲

サイコパスは、恐怖を感じる脳の領域である扁桃体が普通の人よりも小さいので、あまり恐怖を感じません。

どんな業種でもそうですが、臆することなく、ときには向こう見ずなくらい突き進んでいかなければ、大きな成功は得られないものです。失敗を恐れて、何もチャレンジしなければ、成功できるはずがありません。

サイコパスは「恐怖を感じにくい」という特性があるため、失敗を恐れずチャレンジし、仕事もうまくいくのでしょう。

写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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米国エモリー大学のスコット・リリエンフェルドは、インターネットで募集した3388名にサイコパステストを受けてもらうとともに、職場でのポジションを教えてもらいました。

するとサイコパス度の高い人ほど、職場でのポジションが高かったそうです。

「失敗の恐怖を感じにくく、リスクを恐れない」というサイコパスの特性も、やはり出世に役立つと言えます。