「大胆不敵なリーダーシップ」にも通じる
米国エモリー大学のスコット・リリエンフェルドは、42名の米国大統領(第43代ジョージ・ブッシュ大統領まで。第44代バラク・オバマ大統領はデータが少ないので分析に含めなかった)について、歴史の専門家や、各大統領に関する伝記を書いているジャーナリストや作家に、彼らがサイコパスかどうかを評価してもらいました。
その結果、サイコパスの特性のうち、恐怖を感じにくく、支配性が高い(人の上に立ちたいという気持ちが強い)、大胆さがある、という特性を持つ大統領は民衆から高い評価を受けることがわかりました。
他にも、リーダーシップがある、大衆を鼓舞する説得力がある、危機管理能力がある、議会との折衝がうまい、新しい計画を実行できる、といった面で高評価を得ていたことも、サイコパスの特性と関連があります。
では、サイコパスの特性がネガティブに働くことはないのでしょうか。
もちろん、ありました。衝動的であることと、反社会的であることです。こういう特性が目立つと、政治家としての評価は低くなりました。
ちなみに、サイコパスと疑われる大統領で、評価が一番高かったのは第26代セオドア・ルーズベルト、2位は第35代ジョン・F・ケネディ、3位は第32代フランクリン・ルーズベルトでした。
最下位はというと、第27代ウィリアム・H・タフトで、下から2番目は第6代ジョン・Q・アダムズ、3番目は第30代カルビン・クーリッジという結果になったそうです。
いつでも必ずというわけではありませんが、政治家の場合は、サイコパスであることでその特性を活かせることもあるのです。
ビジネスシーンでは「カリスマで魅力的」に見える
サイコパスが成功しやすいのは政治の世界だけではありません。
ビジネスの世界においても、その特性をポジティブに発揮できることが、数多くの研究で明らかにされています。
米国ノース・テキサス大学のポール・バビアクは、従業員数が150人から4万人規模の7つの会社のマネジャー、CEO、副社長、重役たち計203名に、サイコパステストを受けてもらいました。また、それぞれの360度評価(上司からだけでなく、部下や同僚からも評価してもらう形式の人事評価)の記録も教えてもらいました。
すると、サイコパス度の高い人ほど、カリスマ的で、魅力的で、コミュニケーション能力が高い、という評価を受けていることがわかりました。
サイコパスは、いつでも堂々としていて、自信たっぷりに振る舞うので、カリスマ性があるように見えますし、魅力的にも見えます。
また、サイコパスには「ウソつき」という特性もあり、平然とウソをつくことができます。そのため、コミュニケーション能力が高いと周囲の人に思われるのでしょう。